情緒民主主義

 韓国には「国民情緒法」という目に見えない「法律」があるという。実際に定められた法律ではないが、その時々に高まる国民感情が法律に優先して司法や行政に影響を与えながら、政治や社会に反映される状況から生まれた。国民の喜怒哀楽が法を超えて国を動かす情緒民主主義。国民を怒らせたら大変と韓国政府も腫れ物に触るようなところがある▼従軍慰安婦を象徴する少女像問題。韓国ソウルの日本大使館前に続いて釜山の日本総領事館前に設置されたかと思ったら竹島(島根県隠岐の島町、韓国名・独島(トクト))にも設置の動きが表面化した▼少女像については韓国側が撤去に努力し「問題は解決済みでもう蒸し返さない」という日本政府との合意があるのに国民情緒法では無視されるかのようだ▼竹島への像設置の動きに対し、島根県の溝口善兵衛知事は「どういう訳か分からないが、外交問題なので政府が適切に対応すべき。県として今言うことはない」という▼韓国内では少女像があちこちに建てられ、その数は増えるばかりという。国外にも少女像が「輸出」されているらしい▼特定の団体などがやることだからと韓国政府は世論を慮(おもんぱか)って身動きできないようだが、何を信じて良いのか日本政府は立場を失う。竹島の像設置の動きに「領土主権とは性格が異なる」として韓国政府は反対したが、国同士の約束は守ってほしい。起伏の激しい国民感情におもねるだけでは国際的な信頼を失う。情緒にまかせて政治が漂流するのは避けたい。(前)

2017年1月23日 無断転載禁止