プロの目 錦織4回戦敗退 闘志の表し方大事

男子シングルス4回戦で、ロジャー・フェデラーに競り負け8強入りを逃した錦織圭=メルボルン(共同)
 プロ10年目のシーズン最初の四大大会で初優勝を狙った錦織圭(日清食品)の全豪オープンは膝のけがから復帰した元世界ランキング1位のロジャー・フェデラー(スイス)の前に道半ばで終わった。5大会連続の四大大会16強入りで実力の確かさは示したものの、元王者にかなわなかった。現地や国内で戦いを見守った解説者、プロ選手らが大会を振り返り、頂点に立つ鍵について語った。


サーブの精度に「差」 <勝敗のポイント>

 フェデラーとの4回戦の第1セット途中まで好調だったサーブは今大会の収穫。球種、コースを打ち分けた中で元プロで解説者の辻野隆三氏が「切れていた。武器になる」と評価するのはワイドのスライスサーブだ。

 サーブが決まれば、その後のラリー戦でも有利。「サイドへフラットの速いサーブの精度が高まれば、もっとサービスゲームが楽になる」(辻野氏)。その意義が改めて確認できたのは今後につながる。

 ただ、勝負を分けたのもサーブだった。フェデラー戦を振り返り、男子国別対抗戦・デ杯の元監督、神和住純氏は「サーブの差」と言い切った。フェデラーは第1サーブのポイント獲得率80%と安定。一方、錦織のサーブは「少しでも甘ければ、カウンターを打たれた」。

 現役プロで、フェデラーと過去2度の対戦経験がある鈴木貴男氏は「フェデラーは勝利にどん欲で迷いがない。ここが足りないとこ」と指摘。相手の弱点を見逃さない、したたかさで差もあった。


ミスしても冷静さを <制覇への課題>

 錦織のプレーを支える技術の高さは誰もが認めるところ。頂点に立つため心技体のうち現段階で足りないものとして関係者が挙げるのが「心」の部分だ。

 フェデラー戦で見れば、例えばラケットをたたきつけた場面。神和住氏は「ミスしたときにフラストレーションが抑えられないのが残念」と振り返る。対照的なのがフェデラー。「ミスしてもエースでも冷静に装っている」(神和住氏)という、元王者の振る舞いから学ぶことはある。

 試合途中で受けた治療もひ弱さを印象づけた。解説者の坂本真一氏は「フェデラーに勝っても(優勝まで)あと3試合ある。もし勝ててもその状態で本当に優勝できるのか、と思わせてしまった」と残念がる。

 坂本氏が求めるのは「『絶対勝ってやる』という野性味」。精神的支柱としてマイケル・チャン・コーチの存在の大きさは論を待たないが、「もっと自分から求めてほしい」と強調。闘志の表し方は選手のよってさまざま。プレー同様、どう「錦織らしさ」を見つけるかが大事になる。

2017年1月24日 無断転載禁止