読めぬ世界経済の天気図

 年が明けて、読者から届いたお便りに「散歩中に土筆(つくし)の坊やを見つけ、驚きました」とあった。春近しと言うにはあまりにも気が早かろうと思っていたら、やはり寒波がやって来た。センター試験を狙い撃つような間の悪さ。そして今週の山陰は、大雪の混乱の中で動きだした▼こうした大雪をもたらすのは言わずと知れた冬将軍。シベリアから寒気団が下り、日本列島に大量の水蒸気を含んだ雲が流れ込めば条件を満たす。洋の東西を問わず、今季は南欧も厳しい寒さに身を縮めている▼何ともいかめしい冬将軍の命名は、ナポレオンのロシア遠征に端を発す。ナポレオンが厳しい寒さで撤退を余儀なくされ、英メディアが「極寒の将軍に負けた」と報じたのに由来しているという▼そのロシアに秋波を送ろうとしているのがトランプ米新大統領。関係が冷え込み、厚く着込んだコートを脱がせるには、強い風ではなく、冬の雲に隠れていた太陽を当てるのが得策と読んでいるのだろうか▼一方で、米国第一主義を宣言し、カナダなどと3カ国間で結ぶ北米自由貿易協定(NAFTA)などさまざまな国際協定を見直そうとしている。築こうという壁はメキシコ国境にだけでなく、保護主義による貿易障壁も至る所に立てられるかもしれない▼就任後、前政権の主要な政策をひっくり返し始めた新大統領は、ロシア以外の他国にとっては太陽どころか寒波を運ぶ冬将軍か。不透明という寒気に覆われ、世界経済が冷え込まなければいいのだが。(球)

2017年1月25日 無断転載禁止