女子ログ あの日見た池

 小さい頃、母の故郷の倉吉市から鳥取市に、祖父母と汽車でよく出かけた。気高町(現鳥取市気高町)の宝木駅を過ぎ、トンネルを抜けた所に池があった。幼い私の目にその景色は静かで暗く映り、「何だか寂しそうな池」と見るたび思った。

 小学6年生の時、学校行事で鳥取行きの汽車に乗った。宝木駅が近づき「もうすぐ池があるんだよ!」と、得意になってみんなに教えた。しかし、池があるはずの場所は田んぼだった。えっ!? 友達に「どこにあるの」と言われ、恥ずかしかった。

 池はどこへ行ったのか。疑問を抱いたまま大人になり、縁あってその池に近い場所に嫁いだ。水尻(みずしり)池というその池の謎は、義父母が解いてくれた。大正時代に干拓され、夏季は排水して水田として利用され、冬になると池に戻っていたそうだ。昭和50年代に水田としての役割を終え、今に至るという。

 水尻池は水鳥の生息地で、この季節は白鳥の鳴き声が聞こえる。周辺地区では、毎年6月に豊作や人々の健勝を祈る伝統行事で国の重要無形民俗文化財の「水尻の菖蒲(しょうぶ)綱引き」がある。夏の貝殻節祭も有名だ。少女時代に見た寂しそうな池は今では地域の守り神のような身近で大きな存在だ。

 ひょっとして、初めて見た時から近くに来ることが決まっていたのかも、と不思議な縁を感じている。

(鳥取市・DJレイ)

2017年1月25日 無断転載禁止