きらめく星 宵の明星

「宵の明星」の金星と、火星=1月6日午後6時ごろ、大田市の三瓶山北の原で撮影(さつえい)
圧倒(あっとう)的な明るさの金星(きんせい)

 宵とは、日が沈(しず)んでからしばらくの間のことをいいます。天気予報(よほう)では、わかりにくいためか「夜のはじめ」と言い換(か)えるようになりましたが、趣(おもむき)があり残したいことばです。

 「宵の明星(みょうじょう)」と呼(よ)ばれる星があります。つまり「夜のはじめの明るい星」という意味で、日暮(ひぐ)れの西の空に一番星(いちばんぼし)として見え始め、空が暗くなってくると圧倒(あっとう)的な明るさで輝(かがや)きます。近ごろ見た人もいるのではないでしょうか。

 その正体(しょうたい)は、金星(きんせい)です。金星は地球と同じように太陽の周りを回る惑星(わくせい)の一つで、地球より内側を回っています。太陽が沈んだ後の西空か、昇(のぼ)る前の東空のどちらかに見えます。まだ人々が寝静(ねしず)まっている夜明け前はともかく、宵は金星を目にする人が多く、中にはそのあまりの明るさをUFO(ユーフォー)と勘違(かんちが)いする人もいるほどです。

 金星は太陽の光に照(て)らされている、地球よりほんの少しだけ小さな惑星です。これほど明るく見えるのは、地球に近いからですが、もう一つ理由があります。

 金星の表面は厚(あつ)い雲で一様(いちよう)に覆(おお)われています。この雲は、当たった光の約8割(わり)を反射(はんしゃ)するという性質(せいしつ)を持っています。火星も地球から近い惑星ですが、その表面では1割から2割しか光を反射することができません。金星は太陽の光をよく反射するので明るいのです。

 今年の1月から2月は、金星が宵の明星としてよく見えています。たまたまこの期間は、金星の上に、金星に比(くら)べればかなり暗い火星(かせい)も出ていますので、探(さが)してみてください。また、1月31日と2月1日には、この2つの惑星に三日月(みかづき)が近づき、賑(にぎ)やかな宵の空になります。

 3月になると金星は太陽に近づいてだんだん見にくくなり、4月には朝方に見える「明(あ)けの明星」となります。

 (島根県立三瓶(さんべ)自然館サヒメル天文事業室長・竹内幹蔵(みきまさ))

2017年1月25日 無断転載禁止

こども新聞