居心地はバロメーター

 少し前の本紙投稿欄に、仕事を終えて何か食べようと閉店間際に入った飲食店で、せかされるように食事をした人が体験した「居心地の悪い」話が載っていた▼時間のかかる料理はあきらめ、食事が終わらぬうちにアフターコーヒーが出て急いで店を後にした。心中察するに、客とはいえ仕事が遅くなってこんな時間に来た申し訳なさも先に立つ。最近よく聞く「あるある話」の一つである▼背景に人手不足がある。金融、製造、サービス、山陰両県のさまざまな業界から異口同音に漏れてくる。特に飲食業は厳しい。厨房(ちゅうぼう)もホールも人の確保は大変ときく。時間通り店を閉め帰してやりたい経営者の思いもあるだろう▼一方、客側にも時間の余裕は減った。長時間労働が常態化し、働く人がホッと一息つける時間はどんどん遅くなっている。夕方、仕事終わりにビアガーデン、冬ならおでん屋は、「昭和の懐かしい風景」になってしまった感がある▼帰宅が遅れる理由の一つに、残業代を請求できない「サービス残業」も多いというが、これは言葉の使い方からして間違っている。サービスは相応の「有料」対価が伴うべきもの。「無料残業」の意味で使うのは、本来はおかしい▼経済大国、日本の「労働生産性」は先進7カ国で最下位。長時間労働が国を支えている。勤勉は自慢だが、働きづめで子育ても家族団らんも、仲間付き合いもなくなれば、豊かな国と胸を張れない。レストランの居心地は、「働き方改革」のバロメーターになりそうだ。(裕)

2017年1月28日 無断転載禁止