女子ログ カタッポクツシタの怪

 大きな声ではいえないが、わが家には妖怪が住み着いている。「カタッポクツシタ」という名の、極めて奇妙な悪さをする妖怪だ。以前からどうもおかしいとは思っていた。夫が脱ぎ捨てた靴下を拾い集めた時は確かにペアだったはずなのに、洗濯したのをいざ干そうとすると「えーと、紺色にネコの刺しゅう…もう片方はどこ?」「茶色のしま柄は…あれ?」なぜか片方だけが次々と消えていき、いまや夫のクローゼットの引き出しの一つは気の毒な「ぼっち靴下」で満杯である。

 ベルサイユ宮殿でもあるまいし、こんな小さな家のどこに消えるすき間がある? ブラックホール説も真剣に考えてみたが、片方だけというのが不可解だ。かくしてたどりついた結論は「妖怪・カタッポクツシタのしわざに違いない」。目に見えぬ小さな影が昼夜を問わずコソコソ靴下を引きずって天井裏に持ち帰り、潜り込んで寝床にでもするのだろう。そう考えれば合点がいく。

 どうやら妖怪が出るのはわが家だけではないようで、インターネット上でも大真面目な議論が交わされ、英国の学者がカタッポクツシタの出現率の計算式まで発表したらしい―という話を3人の男の子を持つ知人にしたら「それ、うちにも出るわよ」とあっさり返ってきた。「ただしうちはリョウホウクツシタだけどね」

(大田市・ぽのじ)

2017年2月1日 無断転載禁止