邑南町とともに未来へ 島根県立矢上高校

 島根県立矢上高校(足立芳樹校長、邑南町矢上)は、普通科と産業技術科を併せ持つ、全校生徒236人の学校である。学科、コースでそれぞれの進路に合わせた少数精鋭での指導がなされ、進学にも就職にも強く、国公立大学進学にも実績がある。

 私たちは自然豊かな美しい里山で学んでいる。温かい町の人に支えられ、ここにしかない3年間の学びを大切にしている。世界へも羽ばたける人材育成のため、平成24年度から魅力化事業「矢高 笑顔!元気!プロジェクト」を実施してきた。

 県外から入学した生徒も含め勉強や部活動に日々励んでいる。そもそも魅力化って何? 島根の中山間地域を中心とした高校がさまざまな事業を展開している中で、今、矢上高校らしい活動の一部を特集してみることにした。 (1年・榎本)


自慢の校訓

 腕に覚えのある人間

 筋金の通った人間

 思いやりのある人間


矢高笑顔!元気!プロジェクト

魅力化事業で生き生きと

緑豊かな自然に囲まれた邑南町
 邑南町は「A級グルメのまち」として食と農を通じた起業家の育成や観光、農産品の開発など、地域の資源を活用した町づくりを進めている。矢上高校産業技術科では邑南野菜のブランド化のために、平成26年度の未来フォーラムで「西洋野菜」を提案、試験栽培、普及啓発活動を始めた。

 高齢化、就農人口の減少等の課題を抱える中ではあるが、これらの野菜少量多品種栽培や有機、減農薬・無農薬栽培を行うことで、生食での利用が多く野菜本来の味が楽しめるというメリットもある。

自然豊かな実習田で田植え作業を行う生徒たち
 「安心安全」で女性にも人気で、「丹精込めて作ったもの」「ここでしか味わえない食や体験」を提供するA級グルメ創出の起爆材となっている。本年度は町民への普及活動として学校を開放し、西洋野菜セミナーも開催された。

 また、町内の里山レストランや食の学校などとも連携しての新しく楽しい企画を実践している。地域のブランドの構築に、これからもさまざまな角度からの学びにつなげていきたい。 (1年・金子)




朝の小論文対策

新聞に親しみ社会へ関心

スクラップした記事を読み、感想を書き込む生徒たち
 毎朝、皆で新聞記事を読み、感想を書く「朝小論」の取り組みは2007年4月17日から始まり、今年で10年目になる。新聞記事が印刷されたシートをクラスごとに係が配り、静かに読み、大切だと思ったところに線を引き、感想をまとめる。

 記事は進路指導部の先生を中心に全教員が順番に選び、切り抜いてシートに貼り、全校生徒分を用意する。ジャンルも新聞の種類もさまざまで、農業系の新聞やスポーツ新聞からも引用されている。現代社会をはじめ、いろいろな教科の授業の教材として活用する先生や、一人一人の感想にコメントを返してくれる先生もいる。

 受験や面接指導など、いろいろなシーンで役に立つことも多く、日々の地道な積み重ねの3年間で、3冊の厚い新聞スクラップファイルが手元に残る。この活動を通して、新聞に親しみ社会に目を向ける姿勢が身に付いたと思う。

 また、図書館でも、スクラップブックや七色付箋で生徒が自然に新聞を活用できるように工夫されている。主権者教育の視点で考えると、18歳選挙権社会突入に合わせ、朝小論のシートでも関連記事が多く取り上げられたし、それをもとに現代社会で生きた教材として学び、意識が高まった。選挙に臨む生徒だけのためでなく、矢高生みんなで学ぶ場をつくろうと、図書委員会が自主的にセミナーも企画した。

 これからは選挙の時だけに盛り上がるのではなく、日常的な「主権者教育って?」を考えるため新聞を開き、社会の動きに敏感な矢上高校生でいたい。

       (1年・田村)

域系部活動「矢高みらいラボ」

ハンザケ、木育を研究

地域系部活動の一環としてハンザケ生息状況調査を行う生徒たち
 地域系部活動として文化系の部員や寮生有志などで、町の関係者とともに活動を始めて3年目になる。

 今年のキーワードは「ハンザケ」と「木育」。まず9月に開催された「全国オオサンショウウオの会」に合わせ、邑南町のハンザケ部として7月から町内の堰堤(えんてい)調査やハンザケの生息状況調査などを進め、その研究成果を発表した。

「木育円卓会議」で発言する矢高みらいラボのメンバー(右端)
 また、邑南町が進めている木育の事業―邑南町で生まれた赤ちゃんに木のおもちゃをプレゼントするウッドスタート宣言―を受けて、積み木のデザインや木育の啓発活動に参画している。3月12日に開講する「木育インストラクター養成講座」の準備をしている。

 どちらの活動も邑南町が力を入れようとしている事業で、多くの学びの中から得たものを町民全体で共有できるようにしたい。これからも自然に関わる学び、モノづくりの楽しさを発信していきたいと思う。

    (2年・青葉)

フラワーデザイン教室

自由に楽しくアレンジ

フラワーデザイン教室でフラワーアレンジメントを楽しむ生徒たち
 昨年12月20日、参加者を募ってフラワーデザインの教室を開いた。

 講師は地域で活躍中のフラワー装飾技能士・石塚定子さんで、5種類の基礎デザインを教えていただいた。集まった生徒たちは、とても熱心に自由で楽しくお花をアレンジした。受験に向かう3年生を励ますために、学校のいろいろな場所に飾ったところ、「学校が明るくなった」と好評だった。

 この企画はハイプロ(ハイスクールプロジェクト)に参加した生徒を中心に、学校を明るく楽しくするためにできることは何かを考え、自主的に企画した。「感謝の気持ち、笑顔」をコンセプトに、生徒たちの心と心をつなぐ楽しいプロジェクトをこれからも実践する予定。 (2年・若林)


普通科未来フォーラム

地元産乳と果物活用 新たな特産品を開発

未来フォーラムで最優秀賞を獲得したアイスクリーム「吹き抜ける放牧の風」
 未来フォーラムは、町の課題に目を向けて、対応策を調査・検討し、その成果を町長へ提言するという取り組み。今年の未来フォーラムは、町長からのミッションとして「食」「観光」のキーワードが提示された。この活動を通して、分析力、企画立案能力、表現力、コミュニケーション能力などが磨かれると思う。将来、邑南町、日本、世界を支える人材の育成を目指した壮大な取り組みだ。

 その中で最優秀賞を受賞したのが2年2組二班の「アイスでまちおこし」。普通科の生徒が、町内にある乳牛を中心とした第6次産業の企業と連携し、邑南町の新しい特産品を作る取り組みだ。バターを作る際に出てくる低脂肪乳と、邑南町で売れ残るフルーツのB級素材や邑南町ならではの素材の味を生かし、新たなアイスクリームや新しい広報のやり方を提案した。

 成果発表会の場(未来フォーラム)では、ヨーグルト味の低脂肪アイスクリームをふるまい、審査委員から好評を得た。また、1月29日の「おおなんドリーム学びのつどい」(邑南町の小中高特別支援学校が集まる学習発表会)でもプレゼンし、新商品への期待が高まっている。 (2年・津川)


産業技術科課題研究

地域創生へアイデア探求

A級グルメのまちづくりを目指し、自分たちが育てた邑南野菜を手にする生徒
 産業技術科は、全ての人が安心して暮らせる心を込めたモノづくり、そのための環境づくりと最新技術の導入によって豊かな地域保全活動に貢献するための学科。その学習の成果発表でもある課題研究発表会が昨年12月2日、矢上交流センターで開催された。

 3コース六班の研究は「スイーツ」「矢高ショップ」「邑南野菜」「うめのミックスジャム」「肉加工品」「私の住みたい家」と、それぞれ地元の課題に向き合い、アイデアを練りながら探求されていた。生徒への質問や先生方からのアドバイスなどもあり、活気に満ちた発表会となった。

        (2年・彦田)







編集後記

 私たちは、今回の新聞作りで改めて矢上高校の魅力に気づくことができた。

 敷地内にあるハウスや農場には季節の野菜や花で満ちあふれているし、第二農場には広い牧草地に悠々と遊ぶ牛がいる。先日の雪景色も美しく、大自然に囲まれて学べることを幸せに思う。

 今、国公立大学受験や卒論で緊張気味の3年生。寒い中、放課後遅くまで部活に励む1、2年生。それぞれが自分の夢に向かって精いっぱい頑張っている。邑南町民はみなさん温かく私たちを応援してくださっているので、これからも地域と共に学んでいきたい。

 そして、矢高生一人一人が自分らしく輝きながら成長していくことで、もっと魅力的な学校にしていきたい。

 (矢高みらいラボ編集委員)

2017年2月1日 無断転載禁止

こども新聞