40男

 「男が抱える最大の問題は、一家の稼ぎ手として働くしかない現実」。男の悩みを研究する武蔵大社会学部の田中俊之助教の講演を先日、米子市内で聴き、身につまされた。家計の事情に加え、仕事が人生になっており「やめていい」と言われてもやめられない。そこに葛藤があるという▼とりわけ悩みが深い世代とされる「40男(よんじゅうおとこ)」。第2次ベビーブーム(1971~74年)生まれの団塊ジュニア世代だ。言葉が胸に染みた▼この世代は激しい受験戦争にさらされ、テレビCMに「亭主元気で留守がいい」「24時間戦えますか」と昭和的価値観をすり込まれて育ったところでバブル経済が崩壊し、就職氷河期に直面した▼ワークライフバランスに気を配る平成的価値観の今、働き盛りとなった40男は、長時間残業や休日出勤を誇らしげに語っては、若い後輩に煙たがられる▼「やめたい」とこぼしながらも40男は無職になるのが怖いという。実際、愚痴ったところ、脱サラを経験した父に「書くのが得意なら作家になればいい」と切り返され、肝の据わらないわが身を痛感した▼田中氏は、頑張っても勝ち組になれるのはほんの一握りにすぎず、働くだけの人生を送った男が退職後に味わう虚無感を説き、「勇気を持って歩みを止めよう」と仕事一辺倒の人生を見直すよう訴える。目の前の仕事に追われてそれどころじゃない-と言い訳してしまうのは40男の限界か。主力として下支えする40男の行動がまず変わらなければ、会社も社会も変わらない。(志)

2017年2月6日 無断転載禁止