国会の在り方/十分に機能しているのか

 通常国会は、衆院予算委員会で2017年度予算案を中心に審議が進んでいる。これまでの論戦では、成立した16年度補正予算をはじめ憲法改正、天皇陛下の退位を実現するための法整備など、国の在り方に関わる問題についても質疑が行われている。

 これら与野党の主張、賛否が異なる問題を巡って議論が活発になるのは歓迎すべきだが、いま一度考えておきたいことがある。

 それは国会の存在意義だ。国会は憲法で「国権の最高機関で、国の唯一の立法機関」とされ、その在り方や審議については、行政、司法からの介入、関与を受けず、完全に自立、自律していることが大前提である。しかし、その大原則が揺らぎかねない状況になりかけていないか。

 安倍晋三首相は施政方針演説の最後に「憲法施行70年の節目に当たり、私たちの子や孫、未来を生きる世代のため、次なる70年に向かって日本をどのような国にしていくのか。その案を国民に提示するため憲法審査会で具体的な議論を深めようではないか」と訴えた。

 「憲法施行70年の節目に当たり」という表現で、年内の改正項目絞り込みを促したと言えよう。さらに「これは国民の負託を受け、この議場にいる全ての国会議員の責任だ」と述べた。

 安倍首相は常々、自身は行政府の長であるとして、国会のことは国会に任せるとの立場を貫いてきた。第2次内閣での施政方針、所信表明両演説で、憲法改正について「国民的な議論を深める」という漠然とした表現にしてきたのはそのためだ。

 昨年の臨時国会での所信表明演説でも「憲法はどうあるべきか。それを決めるのは政府ではない。国民だ。その案を国民に提示するのは私たち国会議員の責任だ。与野党の立場を超え、憲法審査会での議論を深めていこうではないか」と述べたが、時期や議論の目的は明示しなかった。

 その首相が時期を示し、国会、それも衆参両院の憲法審査会という個別的な場での審議に言及した。

 天皇陛下の退位を実現するための法整備を巡っても、安倍首相は衆参両院議長に直接、与野党の意見調整を要請する異例の対応を取った。目指す陛下一代限りの特別法での対応に向け、各党の理解を求める狙いからだ。

 安倍首相の要請前に、大島理森衆院議長が与野党幹部に「立法府の主体的取り組み」として議論を進める意向を表明し、体裁を整えたが、今後、同様の問題に対処する場合や憲法の天皇関係条項、皇室典範を改正するに当たっての前例になれば、国会の自立性、自律性が問われることになりかねない。

 「安倍1強」といわれて久しいが、立法、司法、行政の三権分立原則は不変のはずだ。首相が審議の進め方にまで口を出すこと自体には批判の声もあるが、見方を変えれば、国会の自立的な取り組みが十分に機能していないことの裏返しでもある。

 安倍首相は今回の施政方針演説で「批判に明け暮れ、国会でプラカードを掲げても何も生まれない」と野党を強く皮肉った。「安倍1強」体制の中で、国会審議が形骸化していくとすれば、それは野党側にも責任がある。

2017年2月7日 無断転載禁止