毒をもって毒を制す

 イスラム圏7カ国からの入国を一時的に禁止する大統領令を巡って米国が混乱している。国の玄関口を特定の宗教圏に限って閉めるのは憲法違反と司法がブレーキをかけると、大統領側が反論するなど法廷闘争が長期化する雲行きだ。人の動きに加えてモノが入ってくるのも制限する内向き姿勢が本物になったら、とはらはらさせる▼トランプ米大統領が為替を円安に誘導していると日本などを名指しで批判した。自国の輸出を有利にする通貨安操作疑惑は、日本のほか中国やドイツの対米黒字国に向けられている▼米国に売るだけ売って自らは米国製品を買おうとしない。円安を武器に米国でバーゲンセールをしていると言いたいらしいが、トランプ流言いたい放題と聞き流すべきかどうか▼結果として円安になっているが、操作はしていないという日本政府の主張は筋として通っている。しかしあまり筋張って反論すると、後で何をされるか分からないという恐怖感のようなものがある▼「結果としての円安」は、デフレ脱却を目指す日銀の超金融緩和政策によってもたらされている。金利や物価を調整する金融政策と円相場を操作する為替政策とは別物なのに、いっしょくたにしてやり玉に挙げられてはと困惑する▼しかし「意地でもデフレを退治する」と緩和一点張りの日銀の政策は「暴走」の域に差し掛かっており、それを止めるのもトランプ政権の暴走だとしたら、毒をもって毒を制すになるかもしれない。「毒消し」はないものか。(前)

2017年2月7日 無断転載禁止