輝(き)らりキッズ 最年少力強いバチさばき

楽しみという練習で懸命(けんめい)に太鼓をたたく長谷川夏菜さん=島根県邑南町矢上、矢上交流センター
たたらの炎(ほのお) イメージ

    石見(いわみ)あらがね太鼓(島根・邑南)

     長谷川 夏菜(はせがわ かな)さん (矢上小4年)

 島根県邑南(おおなん)町ではかつて、純度(じゅんど)の高い鉄を作り出す「たたら製鉄(せいてつ)」が行われていました。宮崎駿(みやざきはやお)監督(かんとく)のアニメ作品「もののけ姫(ひめ)」でも登場した製鉄法で、炎(ほのお)と闘(たたか)いながら鋼(はがね)を生み出しました。そんな歴史ある町で活動する「石見(いわみ)あらがね太鼓(だいこ)」で、炎さながら力強く太鼓をたたくのは、邑南町立矢上(やかみ)小学校4年生でメンバー最年少の長谷川夏菜(はせがわかな)さん(10)です。

 「うまくたたけた時は、いい響(ひび)きがする」と太鼓の魅力(みりょく)を話します。メンバーに加わったのは4歳(さい)ですが、それ以前から関わりがあります。

 父親の淳(あつし)さん(48)が太鼓メンバーだったため、赤ちゃんのときから一緒(いっしょ)に連れられて、練習に通っていました。物心(ものごころ)がつかないうちから、夏菜さんの体には響き渡(わた)る太鼓の音が刻(きざ)み込(こ)まれていたのかもしれません。

 演奏(えんそう)する曲のタイトルは「炎」「小鉄の舞(まい)」など、たたら製鉄にちなんだもので、勇壮(ゆうそう)さが伝わってきます。炎では、燃(も)えさかる様子をイメージして、腕(うで)を左右に大きく振(ふ)り上げてから、勢(いきお)いよく太鼓をたたきます。

 体力的には大変ですが「ストレス解消(かいしょう)になる」と夏菜さんは笑います。何よりも「疲(つか)れても諦(あきら)めずに続けると、うまくなって、やる気につながる」と言い切ります。

 他のメンバーは全員が年上ですが、楽しく話ができる人たちばかりです。太鼓以外にもメンバーの仕事の話などをして盛(も)り上がります。年齢(ねんれい)に関係なく、気持ちが通い合うので、息のあった演奏によって聴衆(ちょうしゅう)を魅了(みりょう)できるのです。

気合の入った練習をする石見あらがね太鼓のメンバー=島根県邑南町矢上、矢上交流センター
 町内外のイベントに出向き演奏をします。このうち地元の矢上地区で、夏の風物詩として行われる「やまんば祭り」は、成果を発表するステージの一つです。夏菜さんは「友達に(自分の)すごいところを知ってもらいたい」と学校で見せる一面とは違(ちが)った、太鼓に向き合う力強い姿(すがた)を披露(ひろう)します。

 友達の前で恥(は)ずかしい演奏をすることはできません。毎週火曜日の練習では、気合の入ったバチさばきを見せます。家に帰っても、膝(ひざ)の上で自然とリズムを刻むことがあります。

 赤ちゃんのときから受け止めてきた響きは、体から抜(ぬ)けることはなく、「死ぬまで太鼓をたたき続けたい」と受け継(つ)いでいく覚悟(かくご)です。

 夏菜さんの中にある石見あらがね太鼓の魂(たましい)は、消えることなく炎のように燃え続けるに違いありません。

≪プロフィル≫

【好きな教科】国語

【好きなスポーツ】バレーボール、バスケットボール

【好きな色】黒、白

【好きな食べ物】米

【好きな歌】愛は勝つ(KAN(カン))

2017年2月8日 無断転載禁止

こども新聞