レッツ連歌(下房桃菴)・2月9日付

挿絵・FUMI
 蝶ネクタイの似合う手品師

大きめのときは入れてる白いハト(松江)水野貴美子

大物の歌手の前座で修業中   (松江)庄司  豊

すみませんワタシ新郎なんですが(松江)山崎まるむ

本職は超カタブツの警察官   (江津)大岩 郁夫

昨晩の第九の衣装着たままで

            (兵庫・明石)折田 小枝

お師匠の衣装を借りて初舞台  (松江)持田 高行

楽屋ではカタズを飲んで見る師匠(江津)江藤  清

縦縞があっという間に横縞に  (松江)植田 延裕

呼ばれたらどこへでも行くボランティア

               (松江)加茂 京子

トランプで大旋風が巻き起こり (出雲)矢田 千夏

本業を聞かれオロオロする市長 (大田)杉原サミヨ

長いものには巻かれよと父は言い(安来)根来 正幸

凶と出たおみくじ吉に変えてみせ(松江)岩田 正之

まちがえたフリして客を喜ばせ (浜田)松井 鏡子

古希過ぎて赤をピンクに替えました

               (益田)竹内 良子

出雲弁まくしたててははぐらかし(出雲)山下  好

それらしく見られることも芸のうち

            (沖縄・石垣)多胡 克己

一言もしゃべらないのが妙にウケ(松江)森廣 典子

チャリティーの市長人気を独り占め

               (松江)三島 啓克

北からの招待状はまだ来ない  (出雲)行長 好友

お客から千円借りて消したきり (出雲)矢田カズエ

銀行へ刻んだお札持ち込んで  (飯南)塩田美代子

追っかけになってかれこれ二十年(浜田)滝本 洋子

形から入るタイプのお父さん  (出雲)野村たまえ

奥さんを入れてグサッと剣を刺し(松江)高木 酔子

頼まれもせぬにやる気の披露宴

             (出雲)はなやのおきな

最後には髭(ひげ)もかつらも取ってみせ(出雲)原  陽子

おじさんの耳は大きくならないの(松江)佐々木滋子

AIのロボットだとは気づくまい(益田)石川アキオ

親も子も手に汗握る謝恩会   (松江)土江 ユミ

ミニスカのアシスタントに気を取られ

               (雲南)横山 一稔

おなじみのタラララララン流れ出し

               (益田)黒田ひかり

物好きな老舗の隠居ハトを飼い (江津)花田 美昭

           ◇

 縦縞のハンカチが横縞に変わる、というズッコケはよくありますが、延裕さんのは珍しい手品ですね。でも、変わったことにだれも気づかない、なんてことはありませんか。

 正之さんの手品も珍しい。少なくとも、私は見たことありません。もっとも、おみくじをすり替えるぐらいなことは、プロにとっては、おそらく、ごくごく簡単なワザ。お正月なんかにはウケそうな気がします。タキシードより紋付き袴(はかま)が似合うかもしれませんが。

 陽子さんのは、どういう芸なのでしょうか。まったく理解できません。

 ユミさんの句は、前句を無視して、つまり独立した川柳として読んでもおみごとです。その場合、謝恩会の出し物は手品とはかぎりません。歌でも踊りでも、とにかく親子ともども手に汗握る―。サラ川やボヤ川の及びもつかぬレベルの高さです。

           ◇

 次の前句は、

  クセのある味クセになる味

 ある種の山菜や発酵食品は、人によって好き嫌いが分かれるものです。また同じ人でも、大嫌いだったはずが、いつか大好きになっていた、ということもよくあります。それはなにも食べ物にはかぎりません。いろいろ想像力を働かせてみてください。

 付句は長句(五七五)です。

              (島根大学名誉教授)

2017年2月9日 無断転載禁止

こども新聞