世事抄録 嗚呼!「三ばか大将」

 わが家で最初にテレビが登場したころ夢中になったのは「三ばか大将」という米国版コメディーだった。石頭を誇るカーリーを中心にした3人組によるサイレント映画の紙芝居的な動きと、家や車の爆裂・炎上をものともしないハチャメチャぶりが腹の皮をよじらせてくれた。ところが、それ以上のばか騒ぎが太平洋の向こうから津波のように押し寄せてくる。主役は丸坊主のカーリーとは異なり、赤ら顔のトランプ新大統領だ。

 今度は単なるギャグではない。イスラム圏7カ国からの入国を禁止する大統領令を発し、世界的な反対デモ、各国首脳の非難を浴びた。トランプ氏の手法は明らかに法の下の平等や信仰の自由を著しく侵害する暴挙。一時差し止めを命じた連邦地裁の判断に対し、彼は「国の安全のため勝利する」と徹底抗戦の構えらしい。しかしテロ対策としながら9・11テロの関係国だったサウジアラビアなどを外したのはなぜか。言動に整合性がない。

 ところが、そんなトランプ氏に愛の手(?)を差し伸べたのが安倍首相だから驚く。なんと日本の公的年金を米国のインフラ事業へ投資し、数十万人の雇用創出につなげる1兆ドル規模の計画に協力するという。まさに「朝貢外交」で世界の日本評価を失墜させている。トランプ、安倍…そして「三ばか大将」の末席は無頓着な日本人なのかもしれない。

(松江市・風来)

2017年2月13日 無断転載禁止