女子ログ コタツに消えたバレンタイン

 私が初めて男の子にバレンタインのチョコを渡そうと決心したのは小学校4年生の時だ。折あしくその年の2月14日は日曜日だった。考えあぐねた末、封筒に小さなハート形のチョコとカードを入れ、切手を貼って金曜日に投函(とうかん)した。週明けの教室で反応やいかにとドキドキしていた私の所に、その男の子(仮にNくんとする)がムッツリした顔つきでやって来て、いきなりこう言った。「あのさあ、ああいう嫌がらせ、やめてよ!」「え?」

 事の次第はこうだ。日曜日、チョコを受け取ったのはNくんのおばあさんで、他の郵便物と一緒につけっ放しの居間のコタツの上に放置した。夕方になって少年野球団の練習から戻ったNくんが手に取ったのは、コタツの熱でドロドロに溶けて包装紙を破り、封筒からもはみ出したチョコ。当然ながら、中のカードは判読不可能。かくして私の人生初バレンタインは無残に終わった。

 それから40年たち、小学校の同窓会で再会したNくんは、いいオジサンになっていた。同じくいいオバサンになった私は懐かしさを覚えながらも「あのバレンタインのチョコ、覚えてる?」とは言い出せず、仕事や家族の話に終始した。毎年カレンダーを見ては2月14日が週末だと知ると「あらまあ…頑張ってね」とつい誰に向けてともなく念じるのはそのせいである。

(大田市・ぽのじ)

2017年2月14日 無断転載禁止