教育国債

 教育無償化のため国が借金すべきかどうか、自民党が教育費の財源に充てる教育国債の創設に向けて検討に乗り出す。「大学に行きたくても経済的事情で断念する人がいる。高等教育をすべての人に開かれたものにしたい」と安倍晋三首相が音頭を取るが、親の負担を国の借金に付け替えて子どもに先送りするにすぎない、と批判的な声も党内にある▼否定派代表格は麻生太郎財務相。「親世代が教育費から逃れるため、子どもに借金を回す名を変えた赤字国債」と辛辣(しんらつ)。国の財布を握る役目柄とはいえ、教育とオカネの関係に一石を投じる▼教育は人への投資であり、必要な資金は社会全体で負担すべきだという考え方は民主党政権時代に近い。しかし教育費が子育ての重圧となる現実は続いている▼仮に大学の授業料をすべて国が負担すると、年3兆円、消費税1・5%分が必要という。一方で国内総生産(GDP)に占める日本の教育費への公的支出比率は4%未満と先進国で最低水準。人への投資には及び腰だ▼国債の発行は道路や橋の建設など将来も資産として残るものに認められ、その場限りの使い道には原則ご法度。それでは国の台所が回らないと赤字国債で賄われている▼当面は赤字でも長い目で見れば黒字となって返ってくる教育投資の「利回り」。その投資が家計の事情で阻まれていることが教育機会の格差につながっている。親から子へ借金が回されても教育格差が解消すれば投資は生きる。親のすねに成り代わって期待したい。(前)

2017年2月15日 無断転載禁止