女子ログ 白鳥の災難

 数年前の冬の朝のこと。松江市の大橋川に架かる橋で最も湖側にある宍道湖大橋を車で通り掛かると、やけに渋滞しています。原因は1羽の白鳥。強風のあまり飛ぶことができないのか、車線の真ん中をヨタヨタ歩いているのです。

 ヒヤヒヤしながら低速で通り過ぎ、時間に余裕があったので橋近くの松江市役所に直行。案内所の方に事情を話すと「それは県の管轄ですね」と言いつつどこかに電話をしてくれました。

 その時、入り口から一人のおばちゃんが走ってきました。「ちょっと~白鳥が歩いてるよ! 助けてあげて! 天然記念物でしょ!」。あ、今ちょうどその話を…と彼女に説明しつつ、自分も含めて世の中には親切で暇な人が結構いるなぁ、と何だかうれしくなり、しばらく話の種にしていました。

 その数週間後。ドラッグストアの駐車場で、車にひかれたカモを片付けている役所の職員に出くわしました。思わず「この前、白鳥も歩いていましたね」と話し掛けると、少し困ったように「あれは越冬のために飛来したコハクチョウではなく、観光用にヨーロッパから移入したコブハクチョウです」。遠い日本に連れてこられた白鳥も災難だけど、あのおばちゃんが知ったら複雑な気持ちかも…。ちなみにコハクチョウもコブハクチョウも天然記念物ではないそうです。

 (出雲市・海苔蔵)

2017年2月17日 無断転載禁止