安来・持田巡査長 卒業卒園の子書き毎年贈呈

卒業・卒園シーズンが迫り、似顔絵に取り組む持田和典巡査長=安来市広瀬町布部、安来署布部駐在所
 安来署布部駐在所(島根県安来市広瀬町布部)の持田和典巡査長(33)が、地域の学びやを巣立つ児童や園児に似顔絵を贈る活動を続けている。「一生の思い出にしてほしい」と真心込めて描き始めたのは3年前。たちまち評判となり、地域との関わりを深めている。地域住民の誰もが腕前を認める「似顔絵ポリス」は卒業シーズンが迫り、準備に追われている。

 きっかけは駐在所勤務から1年が経過した2014年3月。長男を喜ばせるため保育園に持参するポリ袋に描いたアニメキャラクターを、卒業式を控えた布部小学校の保護者がフェイスブックで見つけ「卒業記念の似顔絵を描けませんか」と打診された。

 安来市黒井田町出身で、米子工業高等専門学校・電気工学科卒業の理系。本格的に絵の勉強をした経験はないが、幼少期から学んだ書道で手本を見てまねる力を身に付けた。

 子どもが寝静まった午後9時ごろから作業を開始。小学校や幼稚園から借りた写真を見ながら、A4判の用紙にシャープペンシルで描く。特に目は1ミリでも左右の間隔がずれると人相が変わるため、細心の注意を払う。「子どもたちにとっては一生の思い出になる。妥協はできない」と何度も描き直し、細かな陰影で輪郭を整える。出来上がったのは明け方だった。

 手書きならではのぬくもりが伝わる似顔絵に周囲の反応は上々という。照れくさそうに笑顔を見せる児童や、思わず感極まる保護者を見て、充実感がこみ上げた。以来、卒園・卒業シーズンの恒例行事になり、児童には「中学生になったら自分の身を守る行動を心掛けよう」と言葉を掛けながら手渡す。

 地域との信頼関係の構築にもつながった。各世帯を訪ねる「巡回連絡」では玄関に飾られた似顔絵で会話が弾む。「持田さんに知らせた方がいい」と特殊詐欺を疑う不審電話の相談も受けた。頼られる喜びを実感し、積極的に高齢者サロンやスポーツ少年団の練習に顔を出して交流し、住民との距離を縮める。

 今年は児童5人と園児4人の計9人分を仕上げる。「住民の記憶に残るおまわりさんでありたい。心を込めて描きます」。喜ぶ児童、園児を思い浮かべながらペンを走らせる。

2017年2月20日 無断転載禁止