天下り調査/信頼回復へ本気で臨め

 文部科学省の天下りあっせん問題で松野博一文科相が省内調査の中間報告を公表した。人事課では、あっせんの手順や内閣府の再就職等監視委員会による調査をかいくぐる対応の仕方を引き継ぎメモにまとめ、担当者らの間で代々共有していたという。違法行為を通常業務のように繰り返していたことになる。

 今回新たに違法とされた事案は17件あり、別の事案で引責辞職した前次官や人事課職員ら16人が関与したとされる。監視委が既に認定済みの分と合わせ違法事案は計27件となり、松野氏は「省として再就職等規制違反に組織的に関与していたことが裏付けられた」と述べた。3月末には最終報告をまとめるという。

 一方で、内閣人事局の全府省庁調査を急がなければならない。国家公務員法の改正で現職職員による直接のあっせんが禁じられ、文科省では人事課OBを調整役とするあっせんの仕組みがつくられた。文科省だけとは思えない。ただ他の省庁からの自発的な申告は期待できない。それは文科省側がさまざまな隠蔽(いんぺい)工作で監視委に抵抗したことからも明らかだろう。

 人事局の調査態勢は30人程度。強制的な調査権限はない。一通り聞き取りをしてもどこまで解明が進むかは不透明だ。監視委を中心に人員と権限を備えた第三者機関を立ち上げるべきで、政府の本気度が問われている。

 文科省の天下りあっせんの仕組みは、2008年12月の改正国家公務員法施行で規制が厳しくなって間もなく出来上がった。09年に退職した人事課OBが文科省側と連絡を取りながら退職予定者と再就職先の大学などとの調整役となり、表向き省側は直接あっせんに関わっていないことにして話をまとめるという「抜け道」がそれだった。

 前次官は国会に参考人として呼ばれ「OBによるあっせんは再就職規制に反しないと軽率に信じていた」と陳謝。調整役のOBも「人助けのつもりでやってきた」と、ともに違法性の認識を否定した。本当にそうなのか、中間報告で明らかになった引き継ぎメモを見ると、疑問が湧く。

 「再就職の紹介」と題されたメモには「再就職については、現在、某氏を中心として調整を行っている」「某氏は、ケースに応じ、間に人を介したりしながら再就職先や職員と接触し話をまとめる」などの記述がある。この「某氏」は調整役のOBのことだ。別のメモでは、監視委への対応でOBの名前を出さないようくぎを刺している。

 内部のメモでもOBの名前を伏せたのは後ろめたさがあったからだろう。またOBについては文科省から、月2回勤務で年間報酬1千万円の待遇で生命保険会社顧問のポストを用意されたことが分かっているほか、中間報告では、OBが関係する大学の設置認可に絡む情報が人事課に漏れていたことも指摘された。

 文科省側とOBが一体となった巧妙な仕組みだったが、監視委は人事課のメールを押さえて聞き取りを重ね、脱法行為を次々と暴いた。全府省庁調査でも、違法事案の認定にはそうした物証と証言が必要になる。「関与を否定され資料提出も拒まれれば、それ以上の追及は難しい」との声もあるが、信頼回復のために全力を挙げてもらいたい。

2017年2月23日 無断転載禁止