映画プロデューサーのささやかな日常(46)

新作映画『一週間フレンズ。』完成披露試写会
 青春映画の「名作」を再び…

   人間の成長 丁寧に向き合う


 18日から、僕がプロデュースを手がけた映画『一週間フレンズ。』が公開されました。原作は170万部を突破した葉月抹茶さんの人気コミック。1週間で記憶を失ってしまう記憶障害を持つ女子高生の香織(川口春奈さん)と、そんな香織をひたむきに思い続ける同級生・祐樹(山崎賢人さん)の切ない青春ストーリーです。

 共演はアイドルグループ「超特急」で活躍する松尾太陽さん、「とと姉ちゃん」に出演したイケメン・上杉柊平さん、『俺物語』でフレッシュな魅力を振りまいた高橋春織さんなど、新進の若手俳優陣がそろいました。香織の父親役の甲本雅裕さん、教師役の戸次重幸さんに、彼らを温かく見守る大人たちを演じていただきました。

 監督は『電車男』、ドラマ『1リットルの涙』などを手がけた村上正典さん。淡くて儚(はかな)く美しい映像世界で、思春期のひたむきな心、友情と恋を、混じり気なしのストレートな映画として仕上げていただきました。

 今回、制作にあたっては、一つのテーマを持って挑みました。僕自身、過去に多大な影響を受けた青春映画へのオマージュです。10代の主人公が大人になる過程でぶつかる人間関係や恋愛、親子関係、夢、挫折といった、誰もが一度は経験する壁をモチーフに、人間が「成長していくこと」に丁寧に向き合ってみようと考えたのです。

 今改めて、自身が影響を受けた映画を振り返ると、大林宣彦監督の『時をかける少女』や相米慎二監督の『セーラー服と機関銃』があります。

 これらの名作は、「過去と未来のタイムリープ」や「女子高生がヤクザに」といった「突拍子もない設定」でありながらも、等身大の少女たちの普遍的な葛藤、成長へのターニングポイントを描いた作品でもあり、大ヒットしました。公開当時は、いわゆるアイドル映画としての扱いでしたが、名匠である両監督の手腕が評価され、永遠に語り継がれる作品へと昇華されたのです。

 一方、1970年代後半からは、僕はアニメ作品が大好きでした。映画『銀河鉄道999』や『宇宙戦艦ヤマト』、TVアニメ『機動戦士ガンダム』『超時空要塞(ようさい)マクロス』…実はこれらも壮大な宇宙を舞台にしながら、青年が大人になる姿を鮮やかに描いていました。登場人物に憧れ、その作品世界に没入した想(おも)いが、今でも僕の映画作りの原動力となっています。

 ひとつネタバレになってしまいますが、『一週間フレンズ。』のラストシーンは高校の卒業式です。もう二度と会えないかもしれないという、あの感覚。出会いがあれば、必ず別れもある。成功がある一方、失敗もある。大人になっては当たり前ですが、すべてが新鮮だったあのころ。その「青春の感覚」をできるだけ再現しようとしました。あのころ素敵(すてき)だった青春映画を自分自身の手で作りたくて、作ったといっても過言ではない作品です。それが果たしてできたかどうか、ぜひスクリーンでご覧いただければ幸いです。

(松竹映像本部・映画プロデューサー、米子市出身)

2017年2月24日 無断転載禁止