予算案衆院通過/疑問点は解明されたのか

 2017年度予算案が衆院本会議で可決され、憲法の規定によって年度内の成立が確定した。社会保障費や防衛費などの増額で一般会計総額が過去最大の97兆4547億円に膨らんだ予算案だ。国会では本来、財政再建や安全保障政策などで突っ込んだ議論が求められる。

 だが野党が政権の問題点や疑惑について追及するのも当然だ。稲田朋美防衛相や金田勝年法相らの答弁はおぼつかなく、大阪の学校法人を巡る国有地の格安払い下げ疑惑も浮上した。疑問点の解明は尽くされたのか。

 年度内成立は与党が圧倒的多数の議席を持つ結果であり、安倍政権が説明責任を尽くしたとは言い難いだろう。こうした国会対応は「1強」のおごりの表れと映る。政府、与党は何より、国民の信頼を得られる姿勢で臨むべきだ。

 順調な国会日程は、逆に言えば野党の無力さを浮き彫りにする。民進党など野党にはさらに新しい事実の発掘に努め、疑問点の解明に努力するよう求めたい。野党の力量も問われている。

 稲田、金田両氏は予算委員会で答弁に詰まり、安倍晋三首相が代わって答える場面が繰り返された。閣僚としての適格性に疑問符が付く。

 南スーダンに派遣している自衛隊の国連平和維持活動(PKO)を巡る稲田氏の対応には二つの問題点がある。

 一つは稲田氏が省内を掌握できていないのではないかというシビリアンコントロール(文民統制)に関わる問題だ。PKOの活動状況を記録した「日報」を統合幕僚監部で保存していながら、情報開示請求に「廃棄済み」と回答。その後、保存していることが判明しても約1カ月間、稲田氏は知らされていなかった。こうした状態で国家の安全保障に関わる事態に対処できるのか。

 もう一つはPKO派遣継続の是非だ。昨年7月の大規模紛争に関して稲田氏は「法的な意味での戦闘行為はない」との答弁を繰り返した。「戦闘」という言葉を使うかどうかにかかわらず、現地情勢を改めて分析し、派遣継続について国会で議論すべきだ。

 金田法相は組織犯罪処罰法改正案をきちんと理解できていないのではないか。過去3度廃案となった理由である「共謀罪」に代わって構成要件を厳しくした「テロ等準備罪」を新設するという。

 しかし法相は立法の必要性や捜査対象が一般市民へ拡大する懸念などについて納得できる説明ができていない。政府、与党は3月中旬にも法案を、国会に提出する方針だというが、これで審議に堪えられるのか疑問だ。

 官僚の天下り問題では、文部科学省の組織的な関与が判明した。全府省庁調査の結果を早急に国会に報告すべきだ。さらに、ここにきて焦点となっているのが大阪の学校法人「森友学園」を巡る国有地払い下げ問題だ。

 ポイントは二つある。同法人が購入した大阪府豊中市の国有地が格安で売却された不透明な経緯と、学校法人と安倍首相の関係だ。学園が4月に開校予定の小学校の名誉校長に首相の昭恵夫人が就任していたが、疑惑発覚後に辞任した。疑惑解明のため、野党が求めている関係者の国会招致を実施すべきだ。

2017年2月28日 無断転載禁止