自分の言葉で

 お笑い芸人の内村光良さんと、日本テレビアナウンサーの水卜麻美さん。今春に社会人になる若者が選んだ「理想の上司」ランキングで、初めて男女の1位に立った名前を見て「これが時代の空気か」と苦笑いした▼旧来、管理職に求められたのはリーダーシップや指導力。ランク1位の常連だった女優・天海祐希さんらのイメージとも一致したが、新社会人は優しさや親しみやすさをより重視するようだ。「ゆとり世代」の若者との価値観の違いに戸惑ってきたバブル世代の上司は、ニーズにどう向き合えばいいのか▼男性ランクの4位には、箱根駅伝で青山学院大を3連覇に導いた原晋(すすむ)監督(49)が圏外から急浮上した。指導力と親しみやすさを兼ね備えたバブル世代。若者も一目置く▼原監督が選手をスカウトする際に重んじているのが「自分の言葉で話せるか」。成長する術(すべ)を自ら考え実行する力に通じるからだ。できない理由を人のせいにしないことも大切という。中国電力の営業マン時代に独学を交え、ノウハウを身につけた。経験を糧に、監督自身が明快な言葉で針路を語り、チームを引っ張っている▼きょうから3月。来春の大学新卒者向けの会社説明会が始まる。新入社員を迎える日も近い。自分の言葉で話せる若者との出会いが待ち遠しい▼若者も就職先の上司の言葉に聞き耳を立てている。うわべを取り繕い、失笑を買うまい。自らの経験や視座を信じて、若者の成長につながる道筋を語ろう。本当の優しさは強さからにじみ出る。(杉)

2017年3月1日 無断転載禁止