国有地売却問題/徹底解明が求められる

 大阪市の学校法人「森友学園」に国有地が格安で売却された問題を巡り疑念が深まっている。不動産鑑定士の評価額は9億5600万円だったのに、売却額は1億3400万円。減額した8億円余りは地中にあるごみの撤去費と財務省は説明するが、算定の根拠ははっきりしない部分もある。経緯について問題がなかったか解明を進めるべきだ。

 国民の共有財産がどのように売買されたか、納得のいく説明はいまだにない。実際に撤去されたごみの量と費用は確認されていないという。

 また、原則公表の売却額を非公表にしたり、売買を前に賃料が安い長期の借地契約を結んだりと異例の対応も目立つ。会計検査院が検査するが時間がかかるだろう。学園や財務省などで売買に関わった関係者の国会招致によって解明を前に進めるべきだ。

 問題の国有地は大阪府豊中市にあり、森友学園は2015年5月、10年以内に買い受ける前提で定期借地契約を結び、校舎建設工事を始めた。昨年3月に地中からごみが見つかり、財務省近畿財務局は撤去費などを8億円余りと算定。評価額から差し引き売却した。

 算定は国有地を保有していた国土交通省大阪航空局の見積もりを基に行われたが、直接ごみを確認しておらず、工事業者からの聞き取りで敷地全体のごみの量をはじき出したという。財務省は「ほかに何が出てくるか分からず、いいかげんな見積もりではない」とする。

 しかし、近くにあった同じ程度の広さの国有地は10年、豊中市に約14億円で売却されており、森友学園との売買価格の安さが目立つ。また国有財産の随意契約について財務省は通達で原則として金額や用途を公表するとしているが、今回は学園側の意向で非公表とした。その後、豊中市議の情報公開請求や野党の追及で公表に転じた。

 値引きした8億円余りに見合う撤去作業が実際に行われたかも定かではない。財務省は「契約後に国がごみを撤去したか確認する必要はない」と言う。しかし撤去に関わった処理業者は「掘り出されたごみ交じりの土砂を半分程度、埋め戻した」と証言。これに学園側は「地下に仮置きしただけ」と反論し、豊中市が現地調査をしている。

 この土地に建設中で4月に開校予定の小学校の名誉校長を安倍晋三首相の昭恵夫人が引き受けていたことから、野党は一斉に首相と学園側との関係や政治家の関与をただすなど攻勢を強めている。

 首相は学園の理事長について当初「教育に対する熱意はすばらしいと聞いている」と述べたが、野党の追及にさらされる中、夫人の名誉校長辞任を明らかにした上、就任の経緯を振り返り否定的な評価に変えた。一方、財務省は異例の対応を認めながらも「適正な価格」と強調。学園側との交渉記録などは廃棄したとしている。

 国会では、森友学園が運営する幼稚園の運動会で園児に「安倍首相頑張れ」と宣誓させたことも取り上げられ、首相は「名前を勝手に使われ、抗議した」と答弁。学園側との関係をうかがわせる材料はないが、脇の甘さは否めない。学園側と首相との関係については今後徹底解明が求められる。

2017年3月1日 無断転載禁止