(33)浜田市岡見地区(上) 買い物弱者対策

住民組織が自主運営する「わくわくマーケット」でお年寄りに接客する専属スタッフの谷口由紀さん(左)
 住民組織で店舗自主運営

 手押し車やつえに頼るなどしたお年寄りたちが毎週水曜日、開店時間の午前10時半に合わせて続々と集まる。こぢんまりとした陳列棚には、洗剤やトイレットペーパー、ごみ袋など生活用品を中心に、地元の農産物や加工品が並び、品定めの傍ら、世間話にも花が咲く。

 浜田市三隅町岡見地区の中心部にある旧JA店舗を借り、地元住民でつくる「岡見地区まちづくり推進委員会」が自主運営している「わくわくマーケット」。開店日には、同町内のスーパーが手掛ける移動販売車も店を構え、生鮮食料品などを販売する。

 毎週欠かさず訪れるという地元の常連客の野上昭子さん(81)は2月下旬の水曜日、いつものように自宅から10分かけて歩き、わくわくマーケットで食パンを購入。「車を運転できないので、近くに買い物ができる店があると助かる」と実感を込めた。

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 同委員会は、地区唯一のスーパーの閉店を機に2015年8月、住民に買い物状況を尋ねる全戸アンケートを実施。高齢者の多くが不便を感じている結果を受けて対策を練った。移動販売車を誘致し、同12月から毎週水曜日の午前中に営業。16年6月からは、日にちを合わせてわくわくマーケットを開き、生鮮食料品と生活用品が一度に買える環境を整えた。

 わくわくマーケットでは季節に応じて西条柿やひら餅、ゆずみそなど特産品や加工品を売り、住民による手工芸品も並ぶ。要望に応じてペットフードを常備するなど気を配り、多彩な品ぞろえを目指して新たな出品者も募集。店内の一角に無料の喫茶サロンを設けるなど、住民手づくりのにぎわい拠点を目指す。

 開店当初から現場の運営を任されている専属スタッフの谷口由紀さん(41)によると、毎回、安定的に約30人の利用客がある。「なじみのお客さんも多く、顔を合わせるのが楽しみ」と交流を大切にする姿勢は、明るい接客からも見て取れる。「趣味の作品展示なども企画し、多くの人が集える店にしたい」とますます意欲的だ。

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 買い物弱者対策を目的に始めた取り組みは住民の生活を支え、親睦や生きがいづくりへと発展しようとしている。同委員会の森井剛会長(78)は、来店するお年寄りたちの笑顔の輪に「地域の憩いの場にもなっている」と手応えを感じ、「身の丈に合った運営をしながら、住民の要望に応えていきたい」と活動の広がりを見据えている。

2017年3月2日 無断転載禁止