働き方改革と耳の日

 電通新入社員の過労自殺を契機に、企業の過重労働解消が社会問題としてクローズアップされている。終業時間の繰り上げなど「働き方改革」の記事が新聞に載らない日は、ほとんどない▼政府の働き方改革実現会議では、残業時間の上限を年720時間(月平均60時間)とする方向で政労使が一致。繁忙期1カ月当たり100時間とする上限案も浮上しているが、こちらは過労死ラインの80時間を超え、矛盾を抱える▼先週始まったプレミアムフライデーも付け焼き刃の感が否めない。人手不足もあり山陰では企業の動きは鈍く、政府や経済界が提唱する午後3時に退社を繰り上げたのはごく一部。「できるのは大企業だけ」という冷めた声も多い▼過重労働解消には企業の意識改革も必要だ。本紙特集「旬論/交論」で、長岡塗装店(松江市)の古志野純子常務は「拡大路線を続けるのは危険」と指摘。収益にこだわり過ぎず、従業員の繁忙感を考慮して受注していると紹介した▼同時に仕事の見直しや効率化も欠かせない。ただ、長年続けてきた業務の見直しは容易ではない。「効率化 提案するため 日々残業」。第一生命保険が先月発表したサラリーマン川柳入選作だが、身に覚えのある人も多いのでは▼入選作の中には「『手短に!』 叱る上司の 愚痴長い」という川柳も。面白いが、中間管理職のわが身の立場では耳が痛い。きょう3月3日は「耳の日」。耳が痛い話もしっかりと受け止め、一朝一夕に解決できない難題に立ち向かいたい。(健)

2017年3月3日 無断転載禁止