(34)浜田市岡見地区(中) 自然を生かす

碇石城跡(後方右)を望む源田山登山道の案内看板の前で、今後の活用策について意見を交わす住民たち
 歴史ある源田山整備に力

 「山頂にたどり着くと視界が大きく開け、抜群の眺めだった」。浜田市三隅町岡見地区の里山風景に溶け込む源田山で、2016年10月30日に開かれた登山会。益田市との境に位置する標高263メートルの頂上から、手前に中国電力の火力発電所を見下ろし、遠く日本海を見渡す景色に、参加者が目を見張った。

 ルートの途中に残る碇石(いがらし)城跡からのろしを上げるイベントに合わせた登山会で、2年連続で参加した地元の藤田貞夫さん(75)は「登るたびに道が歩きやすくなっていて、整備が進んでいるのが分かる」と感心した。

 頂上の雑木を伐採したのは、登山会を控えた16年10月上旬。地元の西の谷自治会の住民ら有志が中心となり、特に日本海側の見晴らしを良くしようと手を入れた。イベントの1週間前には、主催する「岡見の文化遺産を守る会」の会員や住民らが登山道の草刈りを実施するなど、準備を整えていた。

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 かつてはヤマツツジの名所として知られ、花見の季節には、住民が重箱を提げて登ったというほど地元で親しまれた山。碇石城跡は、三隅町を治めた豪族・三隅氏が蒙古襲来に備えて築いた重要な城で、大蛇が巻き付いて割ったという伝説が残る夫婦岩など見どころがあるが、炭焼きの衰退などで住民が山に入らなくなったため、戦後は荒廃が進んでいた。

 歴史探訪や健康づくりにつなげようと、同自治会の住民らが整備に乗り出したのは02年。やぶを切り開き、木製の階段やルートの案内板を設置。以降、登山道の草刈りを毎年2回続けてきた。14、15年度には、市の助成金を活用し、道の修繕を進めるなど、地元の山を生かす機運が再び、高まってきている。

 関係者が、碇石城跡を望む登山道の案内看板前に顔をそろえた2月下旬。岡見の文化遺産を守る会の山本多寿夫会長(63)は「多くの人に訪れてもらいやすい山にしたい」と、急坂への丸太階段の追加設置など今後の課題を見据え、西の谷自治会の三浦保法会長(67)は「古里への愛着につながるように、子どもたちに山や地域の歴史を伝え、登る機会をつくりたい」と思いを込めた。

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 荒れていた山に光を当て、自然や景観の魅力に磨きをかける住民たちの取り組み。登山会には16年に約80人、15年には約120人が参加し、おにぎりや豚汁のもてなしなど定着し始めている。軽登山やハイキングなどを気軽に楽しみたい愛好家や、古里学習の子どもたちを呼び込む新たなスポットとして売り出し、交流人口の拡大を図る。

2017年3月3日 無断転載禁止