自民党大会/憲法論議が具体化へ

 自民党が「安倍政権での憲法改正」に向けて本格的に歩み始めようとしている。

 5日の党大会で、これまで連続「2期6年まで」としていた総裁任期を「3期9年まで」にする党則改正を行うとともに「改憲原案の発議に向けて具体的な歩みを進める」と打ち出した運動方針を採択し、国民的な運動を展開する構えだ。

 党関係者によると、改憲原案の「発議」というこれまでにない踏み込んだ文言は安倍晋三首相の指示で急きょ盛り込まれたという。総裁任期の延長によって2021年9月までの続投を視野に入れる安倍首相の事実上の意欲表明なのだろう。

 しかし、憲法の、どの条文を、なぜ改正しなければならないのかについては、はっきりしていない。安倍首相や自民党は「本年が憲法施行70年を迎える」「わが党は、結党以来、自主憲法の制定を党是に掲げている」などとしているが、これでは「党是で、節目だから」としか説明していない。

 国民が受け入れやすい大災害時に備える緊急事態条項の明確化が自民党内で取りざたされている。ただ、「改憲ありき」で、それが容易にできることを基準に項目を絞るというのでは、本末転倒との批判も出るだろう。

 従来の党則では安倍首相の総裁としての任期は18年9月までで切れることになるが、党則改正によって総裁選に出馬することが可能になり、勝利すれば3年延長することができる。

 安倍首相は今年1月のNHK番組で、3選出馬について「結果を積み重ねることで、果たしてこの先どうしようかという判断をしたい」と述べ、前向きに検討する姿勢を示している。

 安倍首相ほど憲法改正に前向きではない岸田文雄外相、石破茂元幹事長らポスト安倍候補がいるが、現状では、政権復帰した12年衆院選以来、四つの国政選挙を勝ち続けて、「1強」体制を築いた安倍首相が優位だ。

 憲法改正は安倍首相にとって、敬愛する岸信介元首相以来の悲願。改正に必要な国民投票法の整備も行われ、国会での発議にこぎ着ければ実施できる状態にある。さらに与党が改憲発議に必要な衆参両院の3分の2の議席を確保しており、今後も、勢力を維持し続ける可能性が高いだろう。

 安倍首相は今年年頭、自民党本部での仕事始めで、やはり、「憲法施行から70年の節目の年」であることに触れた上で「新しい時代にふさわしい憲法はどんな憲法か議論を深め、形作っていく年にしたい」と述べ、憲法改正に向けた議論の進展に意欲を示した。

 国会冒頭に行った施政方針演説でも「私たちの子や孫、未来を生きる世代のため、次なる70年に向かって、日本をどのような国にしていくのか。その案を国民に提示するため、憲法審査会で具体的な議論を深めようではありませんか」と呼び掛けている。

 結党時の自民党、そして安倍首相も憲法改正を求める理由の筆頭に「占領下でつくられた」ことを挙げてきた。こうした考え方に対し、国民も憲法と共に歩んできたこの70年間をどう評価し、総括するのかを問われることになる。

2017年3月5日 無断転載禁止