森友学園問題/売買交渉の全容を示せ

 大阪市の学校法人「森友学園」への国有地の格安売却を巡り、自民党参院議員の鴻池祥肇元防災担当相の事務所が学園側からの要望などを記録した「陳情整理報告書」が出てきた。2013年8月~16年3月の計16回にわたる両者の面談内容が書き留めてあり、財務省近畿財務局などに要望を仲介して報告を受けていたこともうかがえる。

 学園側が豊中市の国有地取得を目指していた時期で、「政治力で早く結論を得られるようにお願いしたい」「何とかしてや」などと露骨な要望が並ぶ。鴻池氏はそのさなかの14年4月に森友学園の籠池泰典理事長と会ったことを認めたが、現金が入ったとみられる紙包みを渡されそうになり追い返したと説明した。

 財務省などへの働き掛けは否定。事務所も「要望を伝えただけ」としている。だが現に数々の要望はほぼかなえられ、不動産鑑定士の評価額9億5600万円から8億円余りも値引きするなど異例の売買が実現した。財務局の対応に影響しなかったか、籠池氏が頼りにした政治家は鴻池氏だけかと疑問は尽きない。

 安倍晋三首相は自民党内の調査に否定的で、会計検査院の検査に委ねるとしている。財務省も「政治家の関与は一切ない」と繰り返すが、説得力はない。まず国有地を保有していた国土交通省大阪航空局も含め、当時の担当者から聞き取りをして売買交渉の全容を国民の前に示すべきだ。

 陳情整理報告書の記述が始まった13年8月は学園側が小学校用地として国有地取得に動きだしたころだ。「国有地借地を希望。近畿財務局より、学校の場合は購入のみと回答あり」とある。学園側は借地契約後の購入を目指し、10月に「上からの政治力で早く結論を得られるようにお願いしたい。評価額を低くしてもらいたい」と求めた。

 14年1月になり「賃料と購入額で予算オーバー」と相談。15年1月、財務省から「土地評価額10億。10年間の定期借地で賃料年約4千万円」を提示されたとして「高すぎる。何とか働き掛けてほしい」と訴えている。

 その年5月には学園側の要望通り、近畿財務局との間で借地契約が結ばれ、賃料は年間2730万円だった。16年3月に校舎建設工事で地中からごみが見つかり、学園側は財務省側との面会設定を要望。報告書には、断ったとの記載がある。

 だが直後に籠池氏は財務省理財局幹部らと会い、3カ月後にごみの撤去費8億円余りを差し引いた1億3400万円で売買契約した。財務省は「この段階で売却価格の交渉などの話が生じることはない」とするが、とんとん拍子で話が進んだ感は否めない。

 しかも、ごみの撤去費を算定した大阪航空局は過去にそうした経験がなく、専門業者に委託しなかったのは小学校の開校予定が迫っていたからだという。学園側にとっては至れり尽くせりに思える。

 籠池氏は保守系政治家の間に幅広い人脈を持つといわれ、鴻池事務所の報告書からも分かるように、なりふり構わず自らの目的達成のために動き回っていた。小学校設置認可についても大阪府議に協力を求めていたとされる。会計検査院の検査だけでなく、政治家の関与の有無を含めた全容解明が待たれる。

2017年3月4日 無断転載禁止