北朝鮮ミサイル発射/新たな脅威への対応を

 北朝鮮が再び日本海に向け弾道ミサイル4発を同時多発的に発射した。うち3発は秋田県男鹿半島沖にある日本の排他的経済水域(EEZ)に落下した。北朝鮮は昨年9月にも弾道ミサイル3発をほぼ同じ水域に向け発射している。日本のEEZをミサイル発射実験の標的水域にするような北朝鮮の行為は度を越しており、決して容認することはできない。

 特に懸念されるのは、北朝鮮が年頭から米国本土に向けた大陸間弾道ミサイル(ICBM)の試験発射の実施を公言していることだ。技術の開発段階ごとに今後も弾道ミサイル発射を繰り返す危険性があり、今回の発射もICBM開発の一環である可能性が否定できない。日本は米国、韓国と連携して、北朝鮮のICBM保有という新たな脅威に備えたミサイル防衛体制を強化。北朝鮮の軍事情報を収集して分析、評価する協力関係を深化させることが急務だ。

 北朝鮮は2月12日、日米首脳会談の日程に合わせるかのように新型の中距離弾道ミサイル「北極星2」を日本海に向け発射した。今回発射された4発の弾道ミサイルの種類などは不明だが、北朝鮮が開発しようとしているICBMが2段式の場合、「北極星2」と今回の弾道ミサイルを組み合わせた試験発射を想定している可能性もある。

 そうなれば、いずれ北朝鮮が発射する弾道ミサイルが、日本列島上空を飛び越え、太平洋上に着水させるICBMになることも予想される。

 今回の発射について、日米韓は事前の兆候をつかめなかったとされる。発射準備の動きが把握されにくい固体燃料が使われたとみられるが、不意打ち的な発射への備えに万全を期すことが必要だ。

 2月の「北極星2」の発射は日米首脳会談の日程に合わせ、今回は3月1日から始まった米韓合同軍事演習に反発するようなタイミングで発射された。3月半ばには、米国のティラーソン国務長官が日中韓を歴訪する。この日程も北朝鮮は織り込み済みだろう。トランプ大統領に「対話か衝突か」という決断を迫る北朝鮮の狙いは明白だ。

 北朝鮮に対する軍事的選択肢も排除しないとしているトランプ政権の朝鮮半島政策の全容はまだ見えないが、対話の道筋を閉ざすのは得策とは言えない。北朝鮮との対話が不愉快な選択であることは間違いないが、制裁圧力の強化だけでは事態が打開できないのも否定できない現実だ。

 米国は北朝鮮に対する中国の影響力行使を繰り返し求めているが、有効な手段にはなっていない。2月末から3月4日まで、北朝鮮の李吉聖(リギルソン)外務次官が訪中、王毅外相とも会談した直後に今回の発射があった。

 核・ミサイル問題の当事者は米朝だが、オバマ前米政権は「戦略的忍耐」という形で北朝鮮の核・ミサイル開発を事実上放置していた。韓国の朴槿恵(パククネ)大統領も当初は北朝鮮との対話路線を模索したが、思惑は空回りを続け、朴大統領自身が政治スキャンダルにより国会で弾劾訴追され、機能不全に陥った。

 今日の危機は、北朝鮮問題のメインプレーヤーである米韓指導者のもたつきがをもたらした側面もある。それを教訓にして、日米韓の新たな戦略構築が必要だろう。

2017年3月7日 無断転載禁止