いつも強気な韓国外交が

 不思議なことにあの強気な韓国外交部(外務省)が日本に配慮を見せている。釜山の慰安婦像問題で一時帰国した長嶺安政駐韓大使の帰任を求め、韓国外相が釜山市に像の移転を要請した▼韓国では青瓦台(大統領官邸)より外交部が強く出る。日本の外交官は交渉に失敗しても首にならないが韓国では首だ。譲歩するなどもってのほか。もっとも青瓦台の決断を仰ごうにも日韓首脳のパイプは細く、問題は常に長引く▼背景には強い世論もある。1980年代の民主化運動で市民運動が強くなり、政府が何か決めても市民の反発ですぐ変わる。日本で安倍首相が安保法を通した時国会の前に集まったのは2万人。韓国は20万人規模が当たり前なのだ▼政治を飛び越え市民運動で政策が変わるのは民主主義とはいえない、という冷静な声もあるにはある。しかし、弱腰外交という批判で流れができると、政府は止められない。こうして対米、対日、対北外交は世論に動かされてきた▼韓国の識者に聞くと「日本は官邸(首相)が一番厳しい」という。今回も日本政府は慰安婦問題の日韓合意がある以上、移転に納得できる結果を得るまで引かない姿勢だが、青瓦台は沈黙し外交部が事後処理を代行している様相だ▼外交の鉄則は、「ゴールポスト(合意)を動かさない」。韓国の国内政治は朴槿恵(パククネ)大統領の罷免を巡って混乱が極まりそうだが、サッカー好きの隣国だ。国際試合でゴールポストを勝手に動かすと何を失うか、知らないわけではないだろう。(裕)

2017年3月9日 無断転載禁止