東日本大震災6年/経済と生活の再建に力を

 東日本大震災から6年たった。避難者は直後の47万人から12万3千人まで減少したものの、プレハブの仮設住宅で暮らす人は約4万人いる。阪神大震災では5年で仮設住宅が役割を終えたことと比べれば、対応は遅れている。安心して生活できる街の整備を急ぎたい。

 移転先となる災害公営住宅は2016年度末に計画の8割が整備され、17年度末でほぼ完了。住宅の高台移転や復興道路の事業も進み、鉄道は9割以上が復旧した。インフラなどの整備はヤマを越えたと言えるだろう。

 今後は地域の経済や住民生活の再建を加速させねばならない。ただ国や地方自治体はノウハウに乏しい。企業や経済団体、NPO、大学などから幅広く協力を得ながら、多様な施策を実施することが不可欠だろう。

 経済面では、被災3県の製造品出荷額が震災前の水準まで回復している。トヨタ自動車が国内第3拠点として東北を選び、岩手、宮城両県の東北新幹線沿いに、自動車関連企業の進出が相次いだことが一つの要因だ。

 被災した沿岸部でも、共同で事業を再建する中小企業を国が支援するグループ補助金や、仮設工場や店舗を整備し無償で貸し付ける新施策もあって、被災した水産加工施設の9割が業務を再開した。

 一方で、企業の新規立地は遅れている。人手不足のため人材確保が難しいことが最大のネックだ。若い世代を中心に人口流出が目立つことに加えて、公共事業など給与水準の高い仕事に人を奪われているからだ。

 経済の再建には、若者らを呼び戻すために安定した仕事を被災地に増やすことを重視すべきだ。まず今ある企業の底上げが重要となる。被災地外にある企業とのマッチングを通じて取引を増やし、雇用の増加につなげたい。

 企業やNPOが被災地の企業に人材を派遣したり、ボランティアやインターンが一定期間、仕事を手伝ったりする活動も広がっている。都会の若者たちが地域を訪れ、生きがいを見つけて移住する成果も期待できる。行政はもっとこれらの活動を後押しすべきだ。

 生活再建のため、高齢者らの見守りや街のにぎわいづくりの手助け、子どもたちの学習支援などに多くの企業やNPOが取り組んでいる。計画的に活動を続けられるように、行政は支援を毎年度決める単年度予算主義を見直し、複数年の補助を決めるといった新しい仕組みの本格導入を検討する必要もある。

 行政のマンパワーには限界がある。全て自前で実施するのではなく、企業やNPOとの協働を通じ、住民から求められるサービスを提供するという行政スタイルに転換する時期に来ている。その手法をこの被災地で確立し、全国の自治体に広げていく展開を期待したい。

 観光の振興も重要だ。日本を訪れる外国人は16年に2400万人を超え、震災前年の3倍近くにまで伸びた。だが、東北6県の訪日客は震災前の水準は回復したが、伸び悩んでいるという。

 観光客の増加は、被災地の実情が海外に発信され風評被害の払拭(ふっしょく)にも役立つ。国は、最優先で東北の訪日客誘致に力を入れるよう求めたい。

2017年3月12日 無断転載禁止