世事妙録 細密画

 私は絵を描くのは下手だが、見るのは大好きだ。絵画や写真、美術品や工芸品を鑑賞していると、外界と遮断された自分の世界に入り込み、時間がたつのを忘れてしまう。

 写実絵画の細密画というジャンルをご存じだろうか。あるテレビ番組で日本人が描いた細密画を専門に収集、展示する美術館が千葉にあるのを知った。紹介された作品は、写真と見まがうような、私にとって未知のジャンルのものであり、なぜこんな絵が描けるのか不思議なくらい細密で、絵を描けない私に強い衝撃を残した。衝動買いをしない私がすぐにネット検索し、ミュージアムショップの通販で、画集とカレンダーを購入した。いつもと違う行動に正直自分が驚いた。

 いつか美術館に行ってみたいと考えていたら、番組から5カ月後、あっさり実現した。仕事で上京した際に時間をつくり、その美術館を訪れることができたのだ。出合いから訪れるまで、何かしらの縁を感じるようなスムーズな流れだった。

 当日はまるで女性との待ち合わせのように気持ちがはやり、開館時間よりも早く着いてしまった。この時間を生かして日本建築大賞に選ばれている美術館の周りを散策しながら独特な外観を鑑賞し、楽しむこともできた。開館後、一人ゆったりと至福の時間を過ごし、細密画との出合いの余韻を楽しむように帰路についた。

 (雲南市・マツエもん)

2017年3月12日 無断転載禁止