ひかりは西へ

 「ひかりは西へ」のキャッチフレーズで山陽新幹線が岡山まで開通してから45年。都市間を高速で結ぶ「大動脈」の整備と新たな政令市の増加は、山陰からの人口流出にも少なからず影響を与えている気がする▼人口流出と言えば、すぐに東京への一極集中が指摘される。しかし島根の場合はそう単純ではなさそうだ。一番激しかった高度成長期の転出超過先は、大阪が群を抜いて多く、東京や兵庫の約3倍に達した▼近年の県外転出先を見ても、一番多いのは広島で、東京は大阪と並んで広島の半分程度。隣県の鳥取を除けば次いで岡山、山口、兵庫などが多い。福岡、愛知を含めると、ほぼ新幹線ルートになる▼転出の原因は進学や就職、転勤などになるが、県外の進学・就職先は同じ中国地方で、横断道で結ばれた山陽側の広島、岡山と大阪、兵庫が目立つ。「元凶」扱いされる東京への転出は、数字上は全体の1割程度だ▼ただ数字では見えないが、山陽や京阪神に進学後、就職で東に向かう「乗り継ぎ移動」も指摘される。これも新幹線ルートなのだろう。小欄で以前、新幹線接続の不公平に触れたが、高速鉄道の「空白」は人口流出と無縁だとは思えない▼山陰と同じく新幹線空白地域の四国は、束になって1兆円規模の「四国新幹線」の実現を目指しているようだ。4県の県庁所在地と大阪を2時間以内で結ぶ構想。取り組みに山陰と温度差がうかがえる。自ら壁をつくっていては夢は実現しないし、地元が熱くならないと前には進まない。(己)

2017年3月15日 無断転載禁止