(88)旧畑迫病院のレントゲン管球(津和野)

旧畑迫病院で使用されていた「レントゲン管球」
X線撮影県内の先駆け

 津和野町邑輝の国名勝・旧堀氏庭園の一部で、銅山経営で栄えた堀氏が1892年に開院した旧畑迫病院。エックス線検査設備を県内でいち早く導入したほか、病棟や手術室、レントゲン室を完備し、1984年の閉院まで地域医療を支えた。2016年11月に、展示室やレストランを備えた複合施設として生まれ変わった。

 施設内には、実際に使われていた医療器具や解説パネルなど約100点が並ぶ。中でも、エックス線発生装置の一部として使われた「レントゲン管球」は、日本で初めて発生装置が生産された1909年から10年後に導入された初期のもの。当時、県内でほかにエックス線検査設備を導入していた病院は2施設程度とされ、残っている現物は非常に貴重だ。

 管球はガラス製で、二つの電極がある。内部は真空になっており、一方の電極で生み出された電子が高電圧で加速され、もう一方の電極に衝突するとエックス線が発生する。病院ではこれを用いたエックス線撮影が県内に先駆けて行われ、その効果が複数の地元新聞に記事や広告で大きく取り上げられた記録が残っている。

 展示物の監修を担当した東京都大田区の医師、蔵方宏昌さん(66)は「大きい病院では設備の更新に伴って廃棄されることが多く、完全な形で残っているのはとても珍しい」と話した。展示室は月曜日休館で、入館料は大人200円、中高生150円、小学生100円。町民は無料。

2017年3月16日 無断転載禁止