天皇退位国会見解/次は安定的な継承論議を

 天皇陛下の退位に向けて衆参両院の正副議長は、陛下一代に限り退位を可能にする特例法を整備するのが望ましいとの見解を取りまとめた。皇室典範改正による退位の恒久制度化を主張していた民進党も容認した。17日に与野党の最終合意を得た上で「国会の総意」として安倍晋三首相に伝える。政府は大型連休前後の法案提出を目指す。

 合意形成で焦点となったのは、制度化との隔たりをどう埋めるかだった。見解は法律名を「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」と定め、典範の付則に、特例法は典範と「一体」をなすと書き込む案を提示。これによって将来の天皇退位の先例になり得るとしており、民進党の主張を取り入れた形になっている。

 さらに民進党が求めていた「女性宮家創設」にも言及。安定的な皇位継承を確保するため政府が速やかに検討を加えるべきだとの共通認識に至ったとした。ただ検討の期限については「明示は困難」「1年をめど」と両論を併記し「各政党・各会派間で協議し、付帯決議に盛り込むなど合意に努力してもらいたい」と述べるにとどまった。

 退位を実現する特例法は今国会中に制定される見通しとなったが、安定的な皇位継承を巡る議論の先行きは不透明だ。当面の対応にめどがついたことで見直しの機運がしぼみ、また先送りとなるのは避けたい。間を置かずに次の議論に取り掛かるべきだ。

 憲法は皇位について「主権の存する日本国民の総意に基く」と定めており、総意の形を整えるため、見解は特例法を主張する与党と、典範改正を訴える民進党の双方に配慮した折衷案の色合いの濃いものになった。まず各党派が「典範の改正が必要という点で一致した」と明記。正副議長4人の考えとして、典範の付則に特例法の根拠規定を置くのがよいとした。

 その上で、典範の定めにより皇位を継承するとする憲法に違反するとの疑義が払拭(ふっしょく)され「先例となり得る」として民進党に、また「退位は例外的措置である」と与党にそれぞれ配慮を示した。

 さらに特例法に「天皇の退位に至る事情等に関する規定」を設け、陛下が昨年8月「高齢になり象徴の務めを果たすのが難しくなると案じている」と退位の強い思いを語られた「お言葉」を国民が理解し共感している-などを盛り込むべき事項に挙げた。「意に反しない」とくみ取れる内容にしたとみられる。

 今年1月、安倍首相が正副議長に与野党論議を要請して以来、取りまとめまで相当な労力が費やされた。ただ女性皇族が結婚後も皇室にとどまる女性宮家創設を含め、皇位の安定継承という課題は積み残しになった感がある。見解は政府に検討を委ねたが、首相は女性宮家に否定的だ。自民党内の慎重論も根強い。

 5年前に当時の民主党政権が検討したが、政権交代で立ち消えになった。首相の念頭にあるのは戦後に皇籍を離脱した旧宮家の復帰という。国会では皇位継承につき「男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえ、検討したい」と答弁している。

 とはいえ、皇族の減少は差し迫った問題となっている。早急に議論に道筋をつける必要があるだろう。

2017年3月17日 無断転載禁止