難読甲子園

 岩手の<不来方>に福井の<丹生>、富山の<石動>、岐阜の<各務野>。さて、いくつ読めるだろう。順に<こずかた><にゅう><いするぎ><かかみの>。全て高校ホッケーの強豪校の名前だ▼スポーツ担当記者だった時代、国体やインターハイのホッケー取材は、難読校が多くて苦労した。島根の<横田>は易しいが、鳥取の<八頭>も他県から見れば難読校の一つ。しかし、一度覚えてしまえば忘れないのも特徴だ▼その一つの不来方が、きのう開幕した選抜高校野球大会に21世紀枠で初出場を果たした。しかも部員はわずか10人。開会式では今大会注目の強打者・清宮幸太郎選手率いる早実(東京)に負けないくらいの大きな拍手が送られた▼3年生13人が昨夏引退し、10人になった不来方が選んだのが打撃重視。「部員が少なく全体の守備練習ができないなら、課題の打撃に集中して練習する」。小山健人監督(30)の逆転の発想が奏功。昨秋の岩手大会で準優勝した▼近年、高校野球は二極化が進んでいる。県外から野球留学生を集めて戦力を整える有力校がある一方、生徒の減少で部員が9人確保できない高校も。昨秋の島根大会では、部員不足の江津工と浜田水産の連合チームが出場した▼こうしたチームに不来方の甲子園出場は勇気を与えるだろう。逆境を言い訳にしていては何も始まらない。決してそれは野球に限ったことではない。不来方の初戦は5日目。山陰勢が出場しない今大会で東北の難読校の名前と活躍が記憶に刻まれる。(健)

2017年3月20日 無断転載禁止