主権者教育

 投票したって政治は変わらないし、誰が当選しても同じことだと皆さんは思っていませんか-松江北高で行われた法教育の授業で弁護士の佐藤力氏はこう問い掛けた。選挙権年齢が昨年の参院選から18歳以上に引き下げられ、新たに選挙に参加する高校生たちがどう受け止めているか、興味津々で見学した▼「政治にはあまり関心がない」「投票に行っても意味がない」という声が多く、やはりそうかと思う半面せっかくの投票権をと、もったいない気もした。授業に講師として加わった東大法科大学院生は生徒たちの反応について「投票に行かないという以外の答えは聞かれなかった」▼昨年参院選の20歳未満の投票率は47%で全体の投票率55%を下回った。しかし同じ20歳未満でも高校生を含む18歳の投票率51%に対し19歳42%。選挙年齢引き下げをにらんだ高校の主権者教育の成果とみることもできる▼世代別の投票率と政治家への信頼度は比例する。政治学者らでつくる研究グループによると、政治家への信頼度は投票率が高い60代以上が最高で最低は20代▼しかしこれからはこの構図が変わってくるかもしれない。主権者教育を受けた世代が増えるにつれ、若者の政治離れに歯止めがかかるかどうか。その鍵は政治家を通して政策を選ぶ選挙の手応えにあるのではないか▼豊洲市場への移転と森友学園問題を巡り東と西で湧き起こる政治絡み疑惑。政治への関心が、無責任と不可解の体系で高まるようでは主権者教育が恥ずかしそうだ。(前)

2017年3月22日 無断転載禁止