女子ログ アナログな時間

 結婚してこの土地に住んで13年。家のそばに日本海がある。小さなトンネルを抜けると、美しい海が広がっている。トンネルは毎日通る慣れ親しんだ道。先日、何げなく通過してふと車を止めた。懐かしい気持ちになり海岸を眺めた。

 実はこの海岸は一目ぼれした淡い恋の思い出の場所。23歳の時だった。40キロ離れたところに住んでいた私は、ドライブの途中にこの海岸を見つけて気に入り、よく通っていた。

 そんな時、海岸で遊んでいた数人の中にいたのが彼だった。長身で前髪が少し長く、目鼻立ちがはっきりした顔立ち。私は恥ずかしくて、声をかけることもできず、ただ遠くから見ていた。結局話もできず、彼が真っ赤なスポーツカーで立ち去るのを目で追うだけだった。

 当時は、連絡手段は固定電話などのアナログ時代。彼にもう一度会いたくて海岸に毎週足を運び、偶然を装い手紙を渡せるチャンスを待ったが、出会うことはなかった。

 思いを伝えるために手紙を書き、渡そうとした私。思い出すと胸がキュンとなる。携帯やネットに依存しがちな今、たまには景色を見たり、思い出にひたったりするアナログな時間も大切だ。

 狭くなった砂浜は昔とは全く違うが、目を閉じると、昔のままの海岸が広がる。切ない恋のアナログな時間を堪能したひとときだった。

   (鳥取市・DJレイ)

2017年3月24日 無断転載禁止