課題解決先進地

 「大変だね」。中山間地域や離島の現状を語る人の口調には哀れみがにじむ。少子高齢化が進む過疎地域には、子供や若者も少ない。でもよく考えれば、それは日本の行く末でもある▼過疎という言葉は島根で生まれたといわれる。高度成長期に農山村から都市へ人口が大量に移動し、あまりにも人が疎(まば)らになった中国山地を表現した。経済が成長し物質的に豊かになる時代は都市が最先端で、農山村は発展から取り残された後進地域だった▼遅れた地域とされてきた島根は最近、課題解決先進地と言われている。日本全体で進む人口減少と高齢化。福祉や交通はどうするか。子育てや教育をどう支えるか。持続可能な産業やインフラをどう構築するか。課題は日本社会を先取りする▼島根県内では土壇場に立つ過疎地域で始まった高校魅力化の挑戦が、県外からの生徒を呼び込む。子育てやグルメを売りに定住人口の増加につなげている地域もある。こうした努力もあって島根県へのU・Iターン者が2015年度は計4252人に上り、年代別では20~30代が目立つ▼島根の過疎地域に挑戦の場を求める若者も少なくない。地域に新風を吹き込む若者の行動力と未来への構想力、そして、住民の土地への愛情と地域に受け継がれた知恵が一つになったとき、イノベーション(変革)が起きる▼もう、過疎地を後進地域とは呼ばせない。島根は人口減少が進む日本の課題解決の道を探る先進地。ここでの挑戦は必ず、未来を照らす光になると信じている。(平)

2017年3月26日 無断転載禁止