民泊法案/地域ごとにルール論議を

 一般の住宅を旅行客などに有料で提供することを認める住宅宿泊事業法案が国会に提出された。狙いは、民泊のルールづくりだ。周りの住民が知らないうちに営業を始めて、騒音やごみ出しなどでトラブルが発生したり、無許可で営業したりするケースが多かったからだ。

 このため法案は、民泊を営む者は地方自治体への届け出制とした。営業日数は、住宅という性格から年180日以内に制限する。騒音の発生など生活環境の悪化を防止する必要があるときは、その期間を条例で短縮することができるとしており、地域の取り組みが重要となる。

 民泊は東京や京都、大阪といった訪日客の多いゴールデンルートで盛んだ。ホテルや旅館の稼働率が高い現状があるからだ。2020年に4千万人の訪日客を受け入れるには、宿泊先の確保が急務となっており、これらの地域での民泊の導入には、一定の理解が得られるのではないか。

 課題は、本当に取り締まりができるのかだ。厚生労働省が民泊仲介サイトで紹介されていた約1万5千物件を調査した結果では、営業許可を受けていたのはわずか17%にとどまった。31%に当たる4624件が無許可の営業、残りは物件を特定できなかったり、調査中だったりという。

 届け出制によって、行政側はどこで営業しているのかをまず把握できる。観光庁はさらに、民泊の標識を付けていない住宅で宿泊者が目立つようなケースがあれば、近隣の住民からの通報も期待できるとする。

 一方、宿泊実態を把握するため観光庁は、インターネットを使ったシステムを構築する方針だ。民泊の事業者には部屋ごとに宿泊者数や日数などの報告を求め、「エアビーアンドビー」など仲介サイトの事業者にも同様の報告を要請する。この二つを突き合わせ、営業日数を守っているかどうかチェックする。

 仲介サイトには、営業日数の上限に達した民泊事業者がウェブサイト上では見えないようにする「非表示」扱いにするよう要求する。

 これらシステムの構築には、民泊事業者らから使用料を徴収することで賄うことも想定されている。民泊を取り締まるために専門の職員を割くことができる自治体は少ない。観光庁には効率的にチェックでき、実効性のあるシステムづくりを求めたい。

 次に必要なのは自治体の体制づくりだ。京都市は、京町家の保存策として民泊への活用も期待している。市は対策プロジェクトチームを設置し、民泊通報・相談窓口を設置したほか、無許可民泊に対する営業停止の指導を強化している。

 長野県軽井沢町のように、町内全域で民泊を認めない自治体も出てきた。民泊の扱いについては、訪日客の数や旅館、ホテルの稼働状況など地域の置かれている状況によって違いがあって当然だ。

 自治体で営業日数の上限を条例で定める際には、議会だけでなく観光業界や経済界、住民の代表らから幅広く意見を聞くべきだ。さらに地域の観光政策を長期的な視点で話し合い計画をつくる日本版DMO(観光地域づくり推進法人)の活動の中でも、民泊の在り方を議論するなど、丁寧な対応が必要だろう。

2017年3月26日 無断転載禁止