学力テストの「直前対策」/教育現場の工夫生かせ

 昨年実施された全国学力テストの直前に、島根県内の小中学校の2割で過去問題や類似問題を使った授業が行われていた。成績を上げるため、行き過ぎた直前対策と受け止められかねないとして、県教委は県内各市町村教委に改善指導を求めた。

 しかし過去問題を使った授業を直前に行ったことが行き過ぎかどうかは即断できない。島根県の中学3年の家庭学習時間は全国で最も短いなど学習意欲の低下が指摘されている。学力テストの成績向上を目標に子どもたちの学習意欲を引き出すため、利用のタイミングという狭い枠にとらわれず学力向上に向けて学校現場の裁量に任せるべきだ。

 昨年4月に小学6年と中学3年を対象に実施された全国学力テストで島根県内の公立小中学校299校が参加。このうち小学校49校、中学校8校合わせた57校が直前に過去問題や類似問題を解かせる授業を行っていた。

 この問題について県教委は、子どもたちの日頃の学力を測る学力テストの趣旨から外れ、行き過ぎた対応との見解を示した。過去問題を普段の授業に生かすことは推奨しているが、直前に集中的に取り上げて成績を一時的に上げても本当の学力を反映しない恐れがあるという。

 これに対し学校現場は戸惑っている。どこまでが行き過ぎた対応なのか曖昧だからだ。直前に過去問題を授業に利用した益田市内の小学校教頭は「純粋に学力を向上させるのが目的。4月にやれば直前対策で、3月ならかまわないのか」と困惑。

 直前に利用したとしても丸ごとなのか補足教材として部分的に使ったのか県教委の調査では明らかにされていない。普段の授業に活用を促しておきながら、直前は競争をあおるという理由で利用を制限するような指導は学校側の自主性を損なう。

 県内で学力テストの過去問題を授業や家庭学習に取り入れているのは小学校が202校のうち93校、中学校97校中18校。振り返り学習を重視する小学校で多く利用され、業者テストに比べよく練られた良問が多いとされる。

 学力テストを巡っては他県で試験当日学力の低い子どもを欠席扱いにしたり、本来の授業そっちのけで過去問題に取り組ませるなど結果を重視するあまり弊害も出ている。このため文部科学省は昨年、行き過ぎた対応を控えるよう指導通知を出している。

 07年度から再開された学力テストで島根県の成績は算数・数学が低迷。年によっては算数の成績が全国最下位クラスに沈んだこともある。積み重ね型の教科である算数・数学を苦手とする傾向は改善されていない。

 県教委では本年度から専門家を交えて算数授業改善プロジェクトを立ち上げ、授業の在り方を見直している。子どもたちがどこでどうつまずいたかきめ細かくチェックし、授業で取り残されないようにしなければならない。

 現状を改善するため学校現場は模索している。目先の点数稼ぎに追い込んではならないが、学力向上に向けた授業改善に取り組む教材として位置づけ、子どもたちの学力把握に役立てるべきだ。良問を積極的に活用する工夫は現場から生まれるはずだ。

2017年3月27日 無断転載禁止