17年度予算成立と国会/国民の不信招かぬ対応を

 一般会計総額が97兆4547億円と、過去最大になった2017年度予算が成立した。安倍晋三首相が「早期成立が最大の景気対策」と強調してきた予算の年度内成立と、先に成立した16年度第3次補正予算を合わせて、本当に景気効果が発揮されるのかが問われることになる。

 17年度予算は社会保障費や防衛費の増大により5年連続で過去最大を更新した。しかし参院に審議が移ってからは特に、学校法人「森友学園」への国有地の格安払い下げ疑惑が中心となり、財政再建などの課題の議論が尽くされたとは言い難い。

 ただ、森友学園疑惑や南スーダン国連平和維持活動(PKO)部隊の「日報」隠しなどは、行政の公正さへの疑念を招く問題だ。6月18日の会期末に向けた後半国会でも引き続き疑惑の解明に取り組むとともに、「巨額予算」の執行では国民の不信を招かぬよう厳正な対応が求められる。

 政府、与党は17年度予算の成立で国会論戦に区切りを付け、森友学園問題の幕引きを図る構えのようだ。しかし学園理事長退任の意向を示している籠池泰典氏が証人喚問で述べた中身は国会でさらに詰める必要がある。

 国有地が評価額より約8億円も安く売却された経緯について、当時の財務省理財局長だった現・国税庁長官らは参院予算委員会の参考人招致で政治的な配慮を否定した。

 一方、籠池氏と政府が公表したファクスで、安倍昭恵首相夫人担当の政府職員が国有地買い取り前の借地契約を巡り、財務省に照会した事実が明らかになっている。

 照会の結果が籠池氏の要望に「ゼロ回答」だったとして政府、与党が昭恵夫人の「関与」を否定するのに対し、野党側は照会自体が「関与」だと主張し、行政が忖度(そんたく)した可能性を指摘、昭恵夫人らの証人喚問を要求している。与党側は喚問を拒否しているが、疑惑解明へ後ろ向きの姿勢では不信を深めることになる。

 PKOの日報問題では、陸上自衛隊が日報を保管していたことが判明した後、統合幕僚監部の幹部が保管の事実を非公表とするよう指示していたという。

 南スーダンで発生した大規模紛争を「戦闘」と記述した日報が、PKOの派遣を継続する上で不都合だったために隠蔽(いんぺい)した可能性がある。稲田朋美防衛相が指示した特別防衛監察の早急な調査結果の公表が必要だ。

 一連の疑惑は「1強」とされる安倍政権の意向が、行政組織に影響を与えた構造的な問題だとすれば、解明は行政府をチェックする国会の責務と言えよう。

 後半国会の焦点は、天皇陛下の退位を巡る特例法案と、共謀罪の構成要件を変えた組織犯罪処罰法改正案の二つとなる。退位を巡る特例法案に関しては、衆参両院の正副議長の下で各党派の意見を聴取し国会としての見解をまとめた。政府は5月上旬にも特例法案を提出する方針だ。国会見解を踏まえた法案とはいえ、国民の理解を深めるために、改めて国会の場でオープンな審議を尽くすべきだ。

 共謀罪を導入する法案に関して、金田勝年法相の答弁は不安定で法改正の妥当性を説明できていない。急いで成立させる必要があるのか。慎重な審議が求められる。

2017年3月28日 無断転載禁止