浜田の山根さん 「大平桜」のこて絵、完成させる

完成した「大平桜」のこて絵の出来栄えを確認する山根文男さん
 桜のシーズンを前に、島根県浜田市三隅町岡見の左官職人山根文男さん(72)が、自宅に隣接する仕事場の壁に国の天然記念物「大平桜」(浜田市三隅町矢原)のこて絵を完成させた。愛着の深い地元の桜を、技巧を凝らした熟練の技で力強く表現。道行く市民らからも好評で、「こて絵を通じ、大平桜の威容や美しさを広めたい」と願う。

 大平桜は、エドヒガンと山桜が自然交配した珍しい品種で、樹高約17メートル、推定樹齢は660年以上とされる巨木。山根さんは20歳の時、当時大平桜を管理していた近くの民家に左官の仕事で訪れ、大きく広がる幹や美しく咲き誇る花に魅了された。妻とのデートやスケッチで足を運ぶなど、半世紀以上にわたって親しんできた。

 観光で訪れた世界遺産の石見銀山遺跡(大田市大森町)で寺院の壁に鳳凰(ほうおう)のこて絵を見つけ、引きつけられたのを機に、2007年にこて絵の制作を始めた山根さん。これまでに国宝の松江城やスサノオノミコトのヤマタノオロチ退治など県内ゆかりの題材を手掛け、次のテーマとして大平桜を選んだ。

 着手したのは昨年12月。セメントで下地を固め、しっくいを塗り重ねて立体感を演出。花びらは濃いめの顔料を使って鮮やかな桃色を表現し、縦1・4メートル、横1・5メートルの大作に仕上げた。「実物にも負けないくらい美しい色合いになった」と出来栄えに納得する。

 4月1、2日は恒例の「大平桜祭り」が開催される。山根さんは「いいタイミングで完成させることができた。幹の立体感や花びらの色使いなどを楽しんでほしい」と笑顔で話した。

2017年3月27日 無断転載禁止