脅しと威嚇

 単なる脅しと威嚇の応酬だと信じているのか、世間はもう普段通りだ。北朝鮮が先日、在日米軍基地への攻撃訓練だとして弾道ミサイル4発を日本海に向けて同時発射。これに対し米国は、武力行使を含め「全ての選択肢を検討している」という▼ミサイルのうち3発は日本の排他的経済水域(EEZ)内に落下。そのうち1発は日本の沿岸200キロだった。「新たな段階」を迎えた北朝鮮の脅威に対し日本も、発射前に拠点を破壊する「敵基地攻撃能力」の保有を検討するようだ▼北朝鮮から発射された弾道ミサイルは10分前後で着弾する。予告なしに、同時に何発も発射されれば全てを迎撃することは不可能だとされる。米軍が韓国への配備を始めた最新鋭の「高高度防衛ミサイル(THAAD)」でも万全とは言えないらしい▼世論を二分した安全保障関連法の施行から1年がたった。確かに日米同盟は強化され、トランプ政権になってからは特に心強い言葉が目立つ。抑止力が高まり「日本が攻撃を受ける可能性は一層なくなる」という安倍首相の事前説明の通りなら心配はないはず▼ただ、今のままでは安全保障のジレンマと呼ばれる軍備増強合戦は避けられそうにない。軍事力は万能ではないが「弱さは侵略を招く」といわれる。北朝鮮の背後に控える中国の動向をにらみながらジレンマと向き合う日々になるだろう▼後戻りが難しい同盟強化を、国民が選んだ代表が選択した以上、その負担はいずれ回ってくる。覚悟はしておいた方がいい。(己)

2017年3月30日 無断転載禁止