女子ログ 送別の日に

 金曜の夕方、職場の扉から「そろそろ、行こうや」と、コート姿の男性が顔を出した。今日は送別会。パソコンの電源を落として、コートを羽織り、扉をしめてゆっくりと階段を下りていく。

 「ここにいるみんな、退職だな~」。しみじみとした声に振り向くと、一緒にいた5人のうち4人が退職だった。「私はまだ、退職しませんよ~」と冗談まじりの笑顔で返した。私は、自分の上司には退職の日まで元気に仕事をし、家族には笑顔で迎えられてほしいという願いを抱いていたから、素直にうれしかった。

 送迎バスに乗り、街に沈む夕日に照らされながら思い出話を聞いていると、もうすぐお別れだということが、信じられなかった。

 送別会で飲み交わしながら、いろんな仕事が来る度に、厳しくもそばで見守り、相談にのってくれた上司の雄姿を思い出した。「飲みにケーション」という言葉が似合うほどお酒好き。課の飲み会以外でも仕事仲間でワイワイと集まった。島根の地酒を大喜びしながら皆で全制覇したこともあった。

 「花束よりもお酒が欲しい」と花束を持ち歩くのを恥ずかしがった上司。職場の礎を築き、陰で支え続けた上司のはにかんだ笑顔を見ながら、感謝で涙があふれると同時に、ぽっかりと心に穴が開くようで、寂しくなった。

(出雲市・こいちゃん)

2017年3月30日 無断転載禁止