文科省違法天下り/癒着解明へ調査継続を

 文部科学省の天下り問題で松野博一文科相は最終報告書を公表した。内閣府の再就職等監視委員会による調査で問題が発覚して2カ月余り。組織的な天下りあっせんで国家公務員法に違反すると認定された事案は計62件となり、引責辞職した前事務次官を含め次官経験者3人が懲戒処分の停職相当とされるなど、処分者は計43人に達した。

 大学の数や定員が増える一方で、少子化は急速に進んでいる。どの大学も厳しい競争にさらされ、生き残りのために補助金の配分などで大きな権限を持つ文科省とのパイプ役となるOBを受け入れ、情報や助言を得ようとする。そんな中で文科省は影響力を強め、外務省や内閣府からの天下りもあっせんしていた。

 報告書から見えてきたのは、予算や権限を背景に文科省がごく当たり前のように天下りを仲介し、大学はメリットを期待したり、機嫌を損ねまいとしたりして応じるという癒着の構造だった。しかし違法事案の事実関係確認に追われ、実際にOB受け入れの見返りに行政がゆがめられるようなことがなかったか-までは踏み込めていない。

 癒着の解明は道半ばと言える。うみを出し切るために調査を継続することが求められる。さらに天下りの問題は文科省にとどまらず霞が関全体に深く根を下ろしているとみられ、監視・調査態勢の強化を急がなければならない。

 能力本位の再就職に何ら問題はない。だが役所の影響力をバックに公務員が民間企業や団体に天下りをすれば、癒着を生むとして2008年12月に改正国家公務員法が施行され、再就職規制が強化された。現役職員は再就職のあっせんができなくなり、文科省は人事課OBを調整役とする「抜け道」を考え出した。

 2月の中間報告までは、このOBを中心に再就職先との調整が行われる仕組みがクローズアップされた。ところが調査範囲を広げると、人事課の幹部や職員が直接、再就職先に退職予定者の情報を提供するなど、やりとりをしていた事案が次々に出てきた。62件のうち30件は、こうした直接のあっせん行為だった。

 しかも次官や人事課長が自ら調整に動いた事案もあり、松野文科相は「あっせんの仕組みは文科省の組織的な関与の中で運用されてきた」と認めた。だが、まだよく分からないことがある。文科省が天下りと引き換えに補助金の配分などで手心を加えるようなことがなかったか、である。

 調整役のOBが関係する大学の設置認可情報が省内で担当の職員から本来、関わりのない人事課職員に漏らされていたことが分かっており、引き続き調べる必要がある。

 もう一つ忘れてはならないのは、この問題が文科省だけの話ではないということだ。再就職等監視委は文科省人事課のメールを押さえ、当事者から聞き取りを重ねながら違法行為を次々に暴いていった。しかし「そんな足のつくようなやり方は普通しない」という声も聞こえてくる。内閣人事局による全府省庁調査は難航しているようだ。

 調査に当たっているのは30人程度で強制的な調査権限もなく、多くは期待できそうにない。安倍晋三首相が強調する「天下りの根絶」に向けて態勢と権限の大幅な見直しが必要だろう。

2017年4月2日 無断転載禁止