おばあさんの力を借りる

 中学、高校の頃、母親が自宅で近くの子どもを預かっていた時期がある。保育園はまだ少なく、近くて送り迎えに便利な上、融通も利いたからなのだろう。一緒に遊んだ記憶がある。姉弟2人の期間もあった▼女性活躍推進法が施行されて1年。以前に比べると、女性の社会進出を促す機運は高まったように感じる。ただネックになっている保育園の待機児童の問題は、解決への道のりが険しいようだ。男性側の働き方や意識にも大きな変化はうかがえない▼それどころか、兵庫県の認定こども園で「もうけ優先」の前代未聞の運営実態が明らかになった。預け先に困った親の弱みに付け込んだような手口に思える。そうだとすれば、施設にばかりこだわらない柔軟な発想での対応も必要な気がする▼進化生物学者の長谷川真理子さんによると、人類の特徴は育児の担い手が親だけではない「共同繁殖」にあるという。ヒトは、産道に比べ脳が大きくなったために未熟な時期に生まれ、成体になるのに15年はかかる。その間、母親が子育てばかりになれば第2、第3の妊娠の機を逸し、種の衰退を招く▼そこで家族や集団の仲間が子育てを手伝う。中でも注目されているのが「おばあさん」の存在。長谷川さんが言うには「繁殖期を終えたメス」が長生きする「おばあさん」がいる例は、ヒト以外の動物では確認されていないそうだ▼ならば、その知恵や経験を社会の仕組みの中に組み込めないのかと思う。「おばあさん」の力を借りる制度があっていい。(己)

2017年4月5日 無断転載禁止