仕事みてある記 空想のつばさ広げ出雲を舞台に創作

出雲神話などをモチーフに物語をつむぎ、山陰地方の良さを全国にアピールする作家活動に取り組む廣田衣世さん=安来市荒島町
  児童文学作家

   廣田 衣世(ひろた きぬよ)さん (安来市荒島町)



 「子どもたちの考える力を育(はぐく)むのが仕事。文章だからこそ、イメージの広がりがあります」。安来(やすぎ)市荒島(あらしま)町、児童文学作家、廣田衣世(ひろたきぬよ)さん(45)は、今日も空想のつばさを広げ、出雲(いずも)神話や目に見えない不思議(ふしぎ)なことがらなどをモチーフにして物語をつむいでいます。

 頭の中の「空想ボックス」に、作りかけのストーリーの種がしまってあります。自宅(じたく)近くの古墳(こふん)、山々、中海(なかうみ)海岸など日課の散歩中や風呂(ふろ)の中で、その種を引(ひ)っ張(ぱ)り出し成長させて楽しみます。

 空想ボックスのそばに「空想スクリーン」もあり、物語の種が映像(えいぞう)を映(うつ)し出します。人間、動物、妖怪(ようかい)、幽霊(ゆうれい)とさまざまなキャラクターが登場、自分たちで勝手に動き、しゃべり、どんどんストーリーを作り出してしまう時があります。場面をつなぎ合わせたり、別のストーリーを組み込(こ)んだりしていると、いつの間にか、一つの物語ができ上がっていきます。

 気分がのったら、パソコンに向かい文章にしていきます。「イメージをどう言葉にするか苦労します」。「例えば台風の風の音は、『びゅーびゅー』や『ごぉーごぉー』ではなく、子どものころには『ばっこんばっこん』と聞こえたんですね」。擬音(ぎおん)を工夫(くふう)しイメージに近づけていきます…。

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 安来市生まれ。空想や神秘的(しんぴてき)で不思議な世界が大好きで、ストーリーを作り、文章にするのが趣味(しゅみ)の子どもでした。短期大学の国文科で学び、帰郷(ききょう)後、児童文学に取り組み「ぼくらの縁(えん)むすび大作戦」(福島正実(ふくしままさみ)記念SF童話大賞)で作家デビューしました。

 「ミズモ ひみつの剣(けん)をとりかえせ!」「蓮(れん)の奥(おく)出雲戦記 ヤマタノオロチ復活(ふっかつ)」「あま~いおかしに ご妖怪?」など15編(へん)を出版(しゅっぱん)、児童文学賞も各種受賞しています。松江(まつえ)市の八重垣(やえがき)神社や地元・安来市の町並(な)み、生家の和菓子(わがし)店などをイメージした舞台(ぶたい)に、神様やヤマタノオロチ、妖怪などが登場。出雲弁(べん)も交えて創作(そうさく)しています。

 「島根や出雲は神秘的な魅力(みりょく)にあふれています。『古事記(こじき)』や『出雲国風土記(いずものくにふどき)』時代の風景や地名があまり変わらずそこにあり、宝物(たからもの)がいっぱいです」「子どもだからこそ見えるものもあります。その感性(かんせい)を失わなければ、絶対(ぜったい)楽しいし、豊(ゆた)かな人生になります」


★メッセージ

 五感を研(と)ぎ澄(すま)まし、さまざまな角度から物事を見たり聞いたりして自分で考え、好きなことや興味(きょうみ)を持ったことに、とことん没頭(ぼっとう)してみて。社会に出ればいろいろな人がおり、考え方も一つではありません。人と違(ちが)うことが大事なのですよ。どきどきわくわくを忘(わす)れず、自分の感覚を大切にしてほしい。

2017年4月5日 無断転載禁止

こども新聞