星取県

 「蟹(かに)取県」改め今度は「星取県」-。鳥取県が2017年度、星空がきれいに見える環境を観光資源としてアピールする事業に乗り出す。県庁所在地・鳥取市は過去に環境省の調査で日本一に選ばれた星空観察の適地。妨げになる人工的な光が少ない人口最少県の環境を逆手に取った▼観察適地のマップを作り、観察イベントに助成するほか、星に関係の深い著名人を「星取県スター大使」に任命しPRに一役買ってもらう。大使には天体観測ファンの歌手・篠原ともえさんが就く見通しだ▼昨年秋、民間プロジェクトチームの月面探査車が鳥取砂丘で走行試験を行ったニュースには日本の片隅の鳥取と広大な宇宙との取り合わせに興奮したものだ。大山や山陰海岸など「山」「海」に加え、宇宙がよく見えるきれいな「空」を地域資源として見直したい▼とりわけ砂丘は星取県として売り出す際に最もアピールしたい場所。周囲に明かりが少なく地形が開け、見上げなくても星空が楽しめる。鳥取市出身の起業家・岡島礼奈さんが人工流れ星を思いついた地でもあることは以前、本欄で紹介した▼同郷の記者も中学時代、部活動で砂丘に行き、流れ星を観察した。その鳥取東中学校科学部では砂丘で風力発電の研究にも取り組み、自作の風車に「宙(おおぞら)2号」と名付けたのを思い出す▼県立美術館の誘致合戦では砂丘が候補地の一つだったが、砂丘ならではの地域振興こそふさわしい。風が織りなす風紋や美しい星空といった天然の「絵画」が砂丘にはある。(志)

2017年4月6日 無断転載禁止