予防は大切だが…

 テレビ番組で「がんの予防になる」と言われると、その食品が、よく食卓に上る。話半分だとしても、摂取し過ぎない限り、害にはならないだろうから口に運ぶ。できれば、がんにはなりたくないという気持ちがあるからだ▼がんと同じように「テロの脅威」も頻繁に取り沙汰される。実際に、日本人が犠牲になった例もあるだけに、他国での出来事と安心し切っていられないとは思う。特に外国人観光客が増え、東京五輪の開催も控えている▼「テロ等準備罪」を新設した組織犯罪処罰法改正案の国会審議が始まった。反対が強く、過去3度も廃案になった共謀罪の構成要件を変えた法案のようだ。うたい文句は「テロを含む組織犯罪を未然に防止する」こと▼額面通りなら、がんの予防と同じで誰もが異論はないはず。ただし害のない食品と違い、副作用や弊害を心配する声もある薬剤だとすれば、その摂取には慎重にならざるを得ない▼薬害の多くは、後年になってから問題になるのが大半だ。おまけに良い点だけを上手に言って相手を乗せてしまう「仲人口」のような説明になれば、逆に不信を招きかねない。それでなくても「政府の今の約束は、将来を約束したものではない」と指摘される例もある▼政治家には、ラフカディオ・ハーンが講演で述べたように、法案に対する賛否は「自分が死んでから百年後、どんな結果を生むだろうかと考える」姿勢を望みたいし、国民も慎重に見極めたい。「仲人口は半分に聞け」ということわざもある。(己)

2017年4月8日 無断転載禁止